アポフィス (小惑星)

アポフィス (99942 Apophis)

アポフィスは、地球近傍小惑星の一つであり、アテン群に属しています。2004年の6月にキットピーク国立天文台で発見され、その後の観測でその軌道が確認された際、小惑星番号99942が与えられました。直径は約310mから340mで、小惑星としては比較的小型であります。また、質量は1.26×10^11 kg（約1億2600万トン）と推定されています。この小惑星の名称は、古代エジプトの悪神アペプから名付けられました。アペプは混沌や破壊を象徴する存在であり、この名前には興味深い意味合いが込められています。

発見と初期の評価

アポフィスの発見は、2004年6月19日に行われました。発見者はハワイ大学の研究者で、新たに発見された小惑星は当初「2004 MN4」と名付けられました。発見から半年ほど後の2004年12月、オーストラリアのサイディング・スプリング天文台での再観測によって、その軌道が確認されました。この際、アポフィスが2029年に地球に衝突する可能性があるとの報告がなされ、世界中のメディアで話題となりました。

そして2004年12月24日、アメリカ航空宇宙局（NASA）はその衝突確率を300分の1と発表し、これはトリノスケールで2に相当します。その後、観測データの修正により、衝突リスクは上昇し、小惑星として初めてトリノスケールを4に引き上げられました。この一連の評価は多くの人々の関心を集め、小惑星の監視が進められることとなりました。

さらに、研究が進むにつれて衝突の可能性は次第に低下し、2005年にはこの小惑星が2036年にも地球に衝突しないという見解が広まりました。この結果、トリノスケールも1に下げられ、初期の恐れは薄れることになります。

将来の接近とその影響

アポフィスは2029年4月13日に地球に最も近づくと予測されています。このとき、アポフィスは地表から約32,500kmの距離を通過する見込みで、視等級は3.3に達し、ヨーロッパ、アフリカ及び西アジアの広い範囲で肉眼でも確認できるでしょう。この接近により、アポフィスの軌道が変化し、アテン群からアポロ群へと移ると考えられています。

さらに、2036年にも地球に接近する予定で、この時の接触についての正確な予測は難しいものの、過去のデータからは無視できるリスクとされており、科学者たちは小惑星が今後の接近時に発信機を取り付けて詳細な軌道追跡を行うべきだと提言しています。

衝突の可能性と影響

NASAの評価では、万が一アポフィスが地球に衝突した場合、そのエネルギーはTNT換算で510メガトンに相当し、数千平方キロメートルにわたる大きな災害を引き起こす可能性があります。衝突の影響については、小惑星の構成物質、衝突地点や角度によって異なるものの、大規模な絶滅や氷期を引き起こすほどの影響は予測されていません。

このように、アポフィスは発見以来、衝突のリスクを巡って多くの議論と研究が行われ、現時点ではその危険性は限りなくゼロに近づいていると判断されています。将来的には、日本を含む世界中の天文学者がその動向に注視し、さらなる調査や観測が求められることでしょう。

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