アミール・ホスロー

アミール・フスロー：インド中世の輝ける詩人、音楽家

アミール・フスロー（1253年 - 1325年）は、中世インドにおいて傑出した詩人、音楽家、芸術家、そして歴史家として知られています。彼は、現在のパンジャーブ地方パティヤーラーで生まれ、本名をアブルハサン・ヤミーヌッディーン・フスローといいました。その才能から「インドの鸚鵡」という異名を持ち、ペルシア語、ウルドゥー語、ヒンドゥスターニー語を巧みに操り、マカロニックな表現を好んで用いました。

生涯と業績

フスローは、テュルク人の武将である父と、奴隷王朝のスルターンの娘である母の間に生まれました。幼い頃から詩の才能を発揮し、1260年に父が亡くなると、母と共にデリーに移り住みました。1271年には最初のディーワーン『Tuhfatus-Sighr』を著し、1272年からは宮廷詩人として、様々なスルターンの下で才能を発揮しました。

彼は、奴隷王朝、ハルジー朝、トゥグルク朝という、デリー・スルターン朝の各王朝に仕え、その時代を生き抜きました。1285年には兵士としてモンゴル帝国との戦いに参加し、捕虜となるも脱出に成功するという経験もしています。また、彼はチシュティー派の聖者ニザームッディーン・アウリヤーの愛弟子であり、ニザームッディーンを深く信仰していました。

フスローは、詩作においては、民族叙事詩、神秘主義、歴史などをテーマに、叙事詩や叙情詩を数多く残しました。1298年には、ペルシアの詩人ニザーミー・ギャンジェヴィーに倣い、5部作からなるロマンス叙事詩を著しました。また、1301年には、アラー・ウッディーン・ハルジーによるランタンボール城の攻防戦を鮮烈に描写しています。

音楽への貢献

フスローは、音楽家としても大きな足跡を残しました。彼は、カッワーリーの創始者として知られ、シタール、タブラ、ガザルといった楽器を13世紀にもたらし、ヒンドゥースターニー音楽の基礎を築いたとされています。彼の音楽は、インドの伝統音楽に大きな影響を与え、今日でも多くの人々に愛されています。

死と遺産

1325年、フスローはニザームッディーン・アウリヤーの死後、後を追うように亡くなりました。彼の墓は、デリーにあるニザームッディーン廟内にあり、多くの人々が訪れています。アミール・フスローは、詩、音楽、文化の分野において、インドの歴史に多大な貢献をしました。彼の作品は、今日でもインド文化の重要な一部として、生き続けています。

彼の作品は、単なる文学作品としてだけでなく、当時の社会や文化を知る上でも貴重な資料となっています。アミール・フスローは、まさにインド中世を代表する知識人であり、彼の遺産は、これからも長く語り継がれていくことでしょう。

アミール・フスローは、その多才な才能と幅広い活動を通して、インドの文化史に不朽の名を残しました。彼の作品は、時代を超えて人々の心を捉え、今もなお多くの人々に感動を与え続けています。

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