アムシャ・スプンタ

アムシャ・スプンタ（Aməša Spənta）は、ゾロアスター教において、最高神アフラ・マズダーに付き従う七柱の善神のグループを指します。その名前は「不滅の聖性」を意味し、ゾロアスター教の神学において重要な役割を果たしています。ただし、スプンタ・マンユがアフラ・マズダーと同一視される場合は、六柱として数えられることもあります。

アムシャ・スプンタは非常に抽象的で教義的な神格であるため、中世以降は人々の信仰対象としてはあまり重要視されなくなり、ゾロアスター教においては、より具体的な神格であるヤザタへと信仰が移行しました。しかし、アムシャ・スプンタは、ゾロアスター教以前の古代ペルシャにおける土着の神々、特に人類の守護者として崇拝されていた存在が取り入れられたものと考えられています。

アムシャ・スプンタは以下の七柱の善神で構成されます。

スプンタ・マンユ（Spənta Mainyu）: アフラ・マズダーと同一視されることもある善神。
ウォフ・マナフ（Vohu Manah）: 「善き意思」を意味する善神。
アシャ・ワヒシュタ（Aša Vahišta）: 「最上の正義」を意味する善神。
スプンタ・アールマティ（Spənta Ārmaiti）: 「聖なる献身」を意味する善神。
クシャスラ・ワルヤ（Χšaθra Vairya）: 「望ましい支配」を意味する善神。
ハルワタート（Haurvatāt）: 「完全」を意味する善神。
アムルタート（Amərətāt）: 「不死」を意味する善神。

アムシャ・スプンタに対抗する悪神も存在し、それぞれが善神に対応する形で配置されています。主な悪神は以下の通りです。

アンラ・マンユ（Angra Mainyu）: 善神スプンタ・マンユに対抗する魔王で、アフラ・マズダーと対立する存在ともされます。
アカ・マナフ（Aka Manah）: ウォフ・マナフと対抗する悪神。
ドゥルジ（Druj）: アシャ・ワヒシュタの敵対者。
タローマティ（Tarōmaiti）: スプンタ・アールマティと対抗する悪神。
サルワ（Saurva）: クシャスラ・ワルヤと対抗する悪神で、インド[[神話]]の暴風神ルドラ（後のシヴァ）がゾロアスター教に取り入れられた姿とされています。
タルウィ（Taurvi）: ハルワタートと対抗する悪神。
ザリチュ（Zairic）: アムルタートと対抗する悪神。

これらの善神と悪神の対立構造は、ゾロアスター教における善と悪の闘争という基本的な教義を象徴しています。アムシャ・スプンタは、ゾロアスター教の神学において、神と人間の関係、そして宇宙における倫理的な秩序を理解するための重要な概念となっています。

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