アムール型潜水艦

アムール型潜水艦

アムール型潜水艦は、ロシア連邦が開発した最新の通常動力型潜水艦であり、950 Амур計画として知られています。これは、ラーダ型潜水艦の輸出用モデルとして設計されました。アムールという名称は、ロシアを流れるアムール川に由来します。

概要

アムール型潜水艦は、第4世代の潜水艦に分類され、複数の目標に対して同時にミサイルを発射できる能力を備えています。特に、前世代のキロ型潜水艦と比較して、静粛性が大幅に向上しており、敵に発見されにくいステルス性能を実現しています。その静粛性は、キロ型の数分の一程度にまで抑えられているとされています。

また、最新の無線電子工学技術を駆使した新世代の無線電気式兵器を搭載しており、戦闘能力が大幅に向上しています。さらに、AIP（非大気依存推進）燃料電池の搭載も検討されており、これにより潜航可能日数の延長と航続距離の増大が期待されています。AIPは新造艦だけでなく、既存の艦艇に対しても、船体を延長することで搭載が可能になるように設計されています。

アムール型潜水艦は、水面が海氷で覆われた海域を除く、世界中のあらゆる海域で、天候や水深に関わらず運用できることを想定して設計されています。多様な海域での作戦遂行能力を持つ、非常に汎用性の高い潜水艦と言えるでしょう。

アムール型潜水艦をベースに、イタリアのフィンカンティエリ社と共同でS1000型潜水艦の開発も進められていましたが、2014年7月に開発が無期限に中断されました。

運用状況

2016年時点では、アムール型潜水艦の発注はなく、建造実績はありません。

導入検討国

複数の国がアムール型潜水艦の導入を検討していましたが、具体的な契約には至っていません。

インド: インド海軍のプロジェクト75I級潜水艦計画に提案されています。ロシア側は、アムール1650をベースに、インドのパートナー企業（L&T）と協力して新たな非原子力潜水艦を共同で設計・建造することを提案しています。ルービン設計局は、80%の国産化が可能であるとしており、AIPの共同開発についても言及しています。同設計局によると、インド海軍への提案はアムール1650に基づいており、全ての要件を満たしているとのことです。
インドネシア: 2006年に、アムール1650型を2隻購入する意向を示しました。
中国: 2014年に、アムール1650の購入交渉を実施していました。
シリア: 2隻のアムール1650の購入を希望していました。
モロッコ: 2015年8月に、アムール1650を購入する契約をすることが期待されるとの報道がありました。
ペルー: 導入を検討していると報じられました。

関連項目

非大気依存推進（Air-Independent Propulsion; AIP)
同世代・同規模の通常動力型潜水艦
ダフネ級潜水艦 - アゴスタ級潜水艦
209型潜水艦 - 212A型潜水艦 - 214型潜水艦
キロ型潜水艦 - ラーダ型潜水艦
S1000型潜水艦
スコルペヌ型潜水艦
S-80型潜水艦

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