アメリカ合衆国のコミュニティ・カレッジ

アメリカのコミュニティ・カレッジ：地域社会を支える高等教育機関

アメリカ合衆国におけるコミュニティ・カレッジは、1920年代に普及した2年制大学であり、州政府の支援を受けた公立機関です。全米に約1200校存在し、これはアメリカ全体の大学の約3割を占めます。リメディアル教育から職業訓練、大学編入準備まで、多様なプログラムを提供し、地域社会のニーズに応えています。

コミュニティ・カレッジの役割

コミュニティ・カレッジは、地域住民に高等教育の機会を提供し、地域社会の発展に貢献する重要な役割を担っています。主な特徴として、以下の点が挙げられます。

多様な教育プログラム: ビジネス、会計学、コンピュータ、工学、医療、教育学など、幅広い分野の学部が設置されています。アソシエイト・ディグリー（準学士号）の取得や、職業教育プログラムも充実しています。
地域社会との連携: 地域の州立大学や企業との連携が強く、地域社会のニーズに合わせたカリキュラムを提供しています。学生は実践的な知識と技術を習得し、卒業後の就職やキャリアアップに繋げることができます。
大学編入の機会: 4年制大学への編入を希望する学生のために、編入プログラムが用意されています。コミュニティ・カレッジで一般教養科目を履修し、4年制大学の3年次へ編入することが可能です。
カレッジプロミス: 一部の州や地域では、カレッジプロミスと呼ばれる授業料免除プログラムが実施されています。これにより、経済的な理由で高等教育を諦めていた学生にも、大学進学の道が開かれています。

コミュニティ・カレッジの歴史

コミュニティ・カレッジのルーツは、デンマークの市民大学（フォルケホイスコーレ）にあると言われています。アメリカでは、当初はジュニア・カレッジと呼ばれ、富裕層の子弟を対象としたリベラルアーツ・カレッジとして発展しました。その後、ベトナム戦争後の復員兵や、英語を母語としない移民、低所得者層への教育機会の提供という目的から、コミュニティ・カレッジとして発展を遂げました。

学修プログラム

コミュニティ・カレッジでは、様々なレベルの学修プログラムが提供されています。

ISCED-4C：1年未満または1～2年間の職業訓練サーティフィケート
ISCED-5B：2年間の職業アソシエイト・ディグリー・プログラム
ISCED-5A：2年間のアカデミック・アソシエイト・ディグリー・プログラム

これらのプログラムは、学生のニーズやキャリア目標に合わせて選択することができます。また、在学中にコースを変更することも可能です。

AAディグリー課程（大学編入プログラム）

AA（Associate of Arts）ディグリー課程は、4年制大学への編入を目指す学生のためのプログラムです。4年制大学の最初の2年間で履修する一般教養科目を学び、3年次への編入を目指します。修了には通常18～24ヶ月（90単位以上）かかります。

職業アソシエイト課程

職業アソシエイト課程は、職業教育を目的としたプログラムです。4年制大学への編入は想定されておらず、特定の職業に必要な知識やスキルを習得することを目的としています。修了すると、Associate in Applied Science（AAS）の称号が授与されます。

入学と留学

コミュニティ・カレッジは、「門戸開放」の方針を採用しており、入学希望者に対して幅広い機会を提供しています。入学に必要な条件は、高校卒業資格、英語能力（TOEFLスコアなど）、学費支払い能力などです。留学生向けの奨学金制度は限られていますが、大学によっては学費の減免制度や、ESL（第二言語としての英語）プログラムを提供している場合があります。

コミュニティ・カレッジのメリット

学費が安い: 4年制大学に比べて学費が安く、経済的な負担を軽減できます。
少人数制教育: クラスサイズが小さく、教員との距離が近いため、手厚いサポートを受けることができます。
多様な学生: さまざまなバックグラウンドを持つ学生が集まっており、多様な価値観に触れることができます。
* 編入の機会: 4年制大学への編入を希望する学生にとって、編入プログラムは有効な選択肢となります。

まとめ

アメリカのコミュニティ・カレッジは、高等教育へのアクセスを広げ、地域社会の発展に貢献する重要な機関です。多様な教育プログラム、手頃な学費、手厚いサポート体制は、多くの学生にとって魅力的な選択肢となっています。大学編入を目指す学生だけでなく、キャリアアップを目指す社会人にとっても、コミュニティ・カレッジは有益な学びの場となるでしょう。

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