アリカ地震

アリカ地震（1868年）

1868年8月13日、南米のペルー南部からチリ北部にかけての沖合で、巨大な地震が発生しました。この地震は「アリカ地震」と呼ばれ、その規模の大きさから甚大な被害をもたらしました。震源地は南緯18.6°、西経71.0°付近のペルー・チリ海溝沿いであり、当時のアリカはペルー領でしたが、現在はチリ領となっています。

地震の概要

地震が発生したのは現地時間の16時45分（UTC21時30分、または20時45分とも）です。この地震の揺れは、北西に1400km以上離れたペルーのサマンコ、東はボリビアのコチャバンバまで広範囲に及びました。地震後、8月25日までに約400回の余震が記録されています。

地震のメカニズムとしては、ナスカプレートと南アメリカプレートの収束型境界における沈み込みが原因とされています。震源域では、全長約600kmにわたる断層破壊が発生したと推定されています。過去にも1604年に同様の場所で地震が発生していますが、1868年の地震の方がより広範囲に断層が破壊されたと考えられています。

津波の襲来

この地震によって発生した津波は、地震発生から52分後にアリカ沿岸に到達し、最初の波の高さは12mに達しました。その73分後には最大の波高16mを記録し、アリカ沿岸では推定25,000人の死者が出ました。周辺地域でも、イキケで12m、タルカウアーノで5mの津波が観測されています。

さらに、津波は太平洋全体に広がり、遠く離れた地域にも到達しました。北米では、カリフォルニア州のサンディエゴで0.3m、サンフランシスコで0.2mの津波を観測しています。ハワイでは、ヒロで1.5mの海面上昇が観測され、最大では4.6mに達しました。マウイ島では、1日を通して海面の上下が見られ、オアフ島では漁師が異常な潮位に気づいたとされています。

ニュージーランドのチャタム諸島では、地震発生から15時間後の15日1時に津波が到達し、家屋が破壊され、人々が高台に避難する事態となりました。日本でも、宮城県本吉郡や伊豆下田で津波が観測され、蝦夷地（現在の北海道）の函館では2mの津波が到達しました。また、琉球の那覇港では、4時間にわたって16〜17回の津波が押し寄せたという記録が残っています。

地震の規模

アリカ地震のマグニチュードは、M8.5からM9.0と推定されています。当時の観測網が未整備であったため、正確な数値は確定していませんが、地震モーメントは7〜10×10^22N・m（Mw9.2〜9.3）またはMw9.1と見積もられています。また、津波マグニチュードはMt9.0と推定されています。この地震は、記録に残る歴史的な地震災害の一つとして、後世に語り継がれるべき教訓となっています。

この地震から9年後には、震源域に隣接した南部でイキケ地震が発生しました。

参考資料

* 地震の年表

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