アリシドン

アリシドン：20世紀を代表する最強ステイヤー

アリシドン(1945-1963)は、イギリスが生んだ伝説的名馬の一頭です。その雄大な馬体は、約168cmにも及びました。名門ダービー伯爵の所有馬として、数々の輝かしい功績を残したアリシドンは、20世紀最高のステイヤーと評されることも少なくありません。

遅咲きの才能

競走馬としてのデビューは1947年秋。しかし、最初の2戦は着外に終わり、期待されたほどの活躍は見せませんでした。翌1948年も初戦は振るわず、しかし、2戦目のクラシックトライアルステークスで初勝利を挙げると、才能が開花し始めます。調教師のウォルター・アールは、この年の春のクラシックレースへの出走を見送るという英断を下しました。

その後、2000メートル以上のレースを5戦3勝と安定した成績を残し、9月に行われたイギリスクラシック三冠最終戦、セントレジャーステークスに挑みます。14頭中6番人気という下馬評を覆し、見事2着に食い込みました。続くジョッキークラブステークス、キングジョージ6世ステークスと連勝を重ね、この年10戦6勝という好成績でシーズンを終えました。その年の3歳フリーハンデでは、セントレジャーステークス優勝馬に次ぐ2位にランクインするなど、高い評価を得ました。

ステイヤーとしての覚醒

1949年、アリシドンはステイヤーとして真の実力を発揮し始めます。オーモンドステークス、コーポレーションステークスと連勝を飾ると、6月にはメートル'>[イギリス]]でクラシックに次ぐ重要レースであるゴールドカップ]に挑戦します。このレースでは、当時最強馬と目されていたブラックターキンを相手に、5馬身差の大差をつけて圧勝しました。続く7月の[グッドウッドカップ]でもブラックターキンを破り、勝利を収めます。

そして9月、アリシドンはゴールドカップ、グッドウッドカップと並ぶ長距離三冠の最終戦、ドンカスターカップに挑みます。このレースでも2着馬に8馬身の大差をつけて圧勝、1879年のアイソノミー以来、実に70年ぶりの長距離三冠達成という偉業を成し遂げました。このレースを最後に、アリシドンは競走馬を引退します。

種牡馬としての成功と最期

引退後は、ダービー伯爵の所有するウッドランド牧場で種牡馬として活躍しました。1955年には、産駒のメルドがイギリス牝馬クラシック三冠を達成するなど、その遺伝力は高く評価され、イギリスリーディングサイアーの栄光に輝きました。しかし、アリシドン自身は、父や祖父と同様に交尾への意欲が非常に低く、晩年は受胎率の低下に悩まされました。1963年、株主間の協議の結果、シンジケートが解散。そして同年9月10日、アリシドンはウッドランド牧場において安楽死されました。

アリシドンは、競走馬としてだけでなく、種牡馬としても大きな成功を収めた、20世紀を代表する名馬として、その名を後世に語り継がれています。主な産駒には、メルド（イギリス牝馬クラシック三冠）、アルサイド（セントレジャーステークス、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス）、ホームワンドバウンド（オークス）、トワイライトアレイ（アスコットゴールドカップ）などがいます。母系にも多くの優れた競走馬を残し、その血統は現代競馬にも大きな影響を与えています。彼の伝説は、これからも語り継がれていくことでしょう。

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