アリダー

アリダー：宿命のライバルとの死闘と、謎に包まれた最期

1970年代後半、アメリカ競馬界を席巻した競走馬、アリダー。その名は、宿敵にしてアメリカ三冠馬アファームドとの壮絶な戦いを経て、今なお語り継がれています。優れた血統と、ずば抜けた馬体から「重戦車」と評されたアリダーは、デビュー前から大きな期待を集め、三冠制覇への期待が高まりました。

アファームドとの激闘

アリダーとアファームドの最初の対決は、デビュー戦のユースフルステークス。ここでアリダーは5着と敗れ、その後も両雄は幾度となく激突を繰り返します。グレートアメリカンステークスではアリダーが勝利するも、続くホープフルステークスではアファームドが制し、互角の戦いを展開しました。2歳時の対戦成績は6戦2勝。一進一退の攻防は、競馬ファンを魅了し続けました。

3歳時、アリダーはケンタッキーダービーの前哨戦であるフラミンゴステークスやフロリダダービーを制覇。三冠レースへの期待は高まりましたが、ケンタッキーダービーではアファームドに1馬身半差をつけられ2着。続くプリークネスステークス、ベルモントステークスも惜しくも2着に終わり、三冠馬の座はアファームドのものとなりました。特にベルモントステークスでの死闘は、アメリカ競馬史上に残る名勝負と評されています。

その後、両馬は「四冠」を賭けたトラヴァーズステークスで再び対決。アファームドが優勝するも、進路妨害により降着、アリダーの勝利となりました。アファームドとの通算成績は10戦3勝。三冠こそ逃したものの、幾多の名勝負を繰り広げたアリダーの競走馬としての功績は、高く評価されています。最終的にアリダーは26戦14勝2着9回という輝かしい戦績を残し、引退しました。

種牡馬としての成功と悲劇の死

引退後は種牡馬として大成功を収めます。アリシーバ、イージーゴア、ストライクザゴールドといったアメリカクラシック三冠競走優勝馬やブリーダーズカップ優勝馬を輩出し、1990年には北米リーディングサイアーに輝きました。日本でもリンドシェーバーなど活躍馬を送り出しています。ブルードメアサイアーとしても、凱旋門賞優勝馬パントレセレブル、ブリーダーズカップ・クラシック優勝馬キャットシーフなど、数々の名馬を輩出しました。

しかし、1990年11月13日、繋養先のカルメットファームで右前脚骨折を発症。緊急手術を受けたものの、再び骨折し、11月15日に安楽死の措置が取られました。享年15歳。アリダーの死には多くの謎が残されており、カルメットファームの負債問題と絡めた憶測も飛び交いましたが、真相は解明されていません。この事件はカルメットファームの信用を失墜させ、翌年には破産へと繋がりました。

評価とその後

アリダーの功績は高く評価されており、1989年にはアメリカ競馬名誉の殿堂博物館に殿堂入りを果たしています。1999年にはブラッド・ホース誌の選ぶ20世紀のアメリカ名馬100選において、27位にランクイン。アファームドとのライバル関係、種牡馬としての成功、そして謎に包まれた死…アリダーの生涯は、アメリカ競馬史に大きな足跡を残しました。その名は、これからも多くの競馬ファンに語り継がれていくことでしょう。

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