アリー・ラーリージャーニー

アリー・アルダシール・ラーリージャーニー

アリー・アルダシール・ラーリージャーニー（ペルシア語: علی اردشیر آملی لاریجانی、英語: Ali Ardashir Larijani、1958年6月3日 - ）は、イランの政治家、哲学者です。イラクのナジャフで生まれ、現在は最高指導者顧問および公益判別会議（公益評議会）の議員を務めています。2008年から2020年までの長きにわたり、イラン・イスラーム議会の議長を務めました。

経歴

ラーリージャーニーは、アーヤトッラーであったミールザー・ハーシェム・アーモリーの息子として、1958年にイラクのナジャフで生を受けました。彼は学問にも優れ、1979年にシャリーフ工科大学で数学と計算機科学の学位を取得。その後、テヘラン大学に進学し、1981年に西洋哲学の修士号、1983年には博士号を取得しました。彼の専門はカント哲学です。

イラン革命後は、イスラム革命防衛隊参謀本部次長などの要職を歴任し、1981年から1982年までイラン・イスラム共和国放送（IRIB）の最高業務責任者を務めました。その後も、1991年から1993年までイスラム文化指導大臣、1994年から2004年までイラン・イスラム共和国放送（IRIB）の総裁として、イランの文化・情報政策に深く関わりました。

2005年にはイラン大統領選挙に出馬しましたが、第一回投票で6位に終わり、落選しました。しかし、2008年3月に行われたイラン国会議員選挙でゴムの選挙区から出馬し当選。同年6月には国会議長に選出されました。2012年の国会議員選挙でも再選され、引き続き議長を務めました。2016年2月に行われた第10期国会議員選挙でも同じくゴム（定数3）で当選を果たしましたが、2020年の第11期国会議員選挙には出馬しませんでした。同年5月29日には、最高指導者顧問に任命され、現在に至ります。

2021年6月18日の大統領選挙にも立候補を届け出ましたが、監督者評議会（護憲評議会）による資格審査を通過できず、出馬は叶いませんでした。2024年5月19日にエブラーヒーム・ライースィー大統領がヘリコプター墜落事故で急死したことを受け、6月28日に急遽執行されることとなった大統領選挙に立候補を表明しましたが、前回同様に監督者評議会の審査で出馬資格を得られませんでした。

人物像

ラーリージャーニーは保守派に属しますが、マフムード・アフマディーネジャード元大統領とは対立関係にあるとされていました。一方で、ハサン・ロウハーニー政権が進めた欧米諸国との核合意については支持する立場を示していました。彼の兄弟もまた、イランの要職を担っており、兄のモハンマド＝ジャヴァードは司法権人権本部書記、最高指導者最高顧問を、弟のサーデグは専門家会議議員、前司法府長官を務めています。また、岳父は著名な宗教指導者であり学者であったモルタザー・モタッハリーです。

ラーリージャーニーは日本との関係も深く、何度か日本を訪れています。広島や長崎を訪問し、明治神宮にも参拝しました。2010年の長崎訪問時には、長崎原爆資料館を見学し、「米国が起こした戦争犯罪を世界に知らしめるという意味で意義深く価値がある」と述べました。また、「世界に一つでも核爆弾が存在すれば全人類の脅威。あらゆる大量破壊兵器は禁止されるべきだ」と訴え、当時の田上富久長崎市長に対し、イランが核兵器製造を行わないことを明言しました。

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