アルジェのイタリア女

アルジェのイタリア女

『アルジェのイタリア女』（伊: L'italiana in Algeri）は、ジョアキーノ・ロッシーニが作曲した全2幕からなるオペラ・ブッファ（またはドラマ・ジョコーソ）です。特に序曲は、演奏会用としても広く親しまれている有名な楽曲です。

作曲の経緯

1813年4月末、サン・ベネデット劇場で予定されていた作曲家カルロ・コッチャの新作オペラの完成が遅れるという事態が発生しました。劇場主のジョヴァンニ・ガッロは、当時21歳のロッシーニに代役を依頼。ロッシーニはこれを受け、4月末頃（4月25日頃と推定）に着手し、わずか27日間で完成させました。そして、5月22日の初演に間に合わせるという驚異的なスピードで作曲されました。ただし、具体的な依頼日や作曲開始日については明確な記録が残っていません。

ロッシーニが使用した台本は、元々1808年にルイージ・モスカがミラノのスカラ座での上演のために作曲した同名のオペラの台本を流用したものです。モスカ版のオペラは同年8月16日にスカラ座で初演され、人気を博しました。

初演とその後

『アルジェのイタリア女』は1813年5月22日、ヴェネツィアのサン・ベネデット劇場にてロッシーニ自身の指揮で初演され、熱狂的な成功を収めました。この成功は瞬く間にイタリア全土に広がり、その後ドイツのミュンヘンやフランスのパリでも上演されました。ロッシーニのオペラがドイツとフランスで上演されたのは、本作が初めてでした。

1830年までヨーロッパとアメリカで頻繁に上演され、ロッシーニの人気が一時的に低迷した時期でも、このオペラは常に演目から外れることはありませんでした。

台本

台本はアンジェロ・アネッリがルイージ・モスカの同名のオペラのために書いたものと、『偉大なソリーマン2世の美しい女奴隷ロクセラーナ』の伝説に基づいて書かれています。

楽器編成

木管楽器: フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2
金管楽器: トランペット2、ホルン2、トロンボーン1
打楽器: ティンパニ
その他: 弦5部

登場人物

ムスタファ: アルジェの太守（バス）
エルヴィーラ: ムスタファの妻（ソプラノ）
ズルメー: エルヴィーラの侍女（メゾソプラノ）
リンドーロ: エルヴィーラのイタリア人奴隷、恋人（テノール）
イザベッラ: リンドーロの恋人であるイタリア女（アルト）
タッデーオ: イザベッラの年配の崇拝者（バリトン）
アリ: ムスタファの部下（バス）

その他（合唱）: ハーレムの神官たち、アルジェの海賊たち、イタリア人の奴隷たち、パッパターチたち

あらすじ

時と場所: 1805年頃のアルジェ

序曲（シンフォニア）

序曲（アンダンテ、ハ長調、4分の3拍子）は、弦楽器によるピアニッシモのピッツィカートで始まる序奏部が特徴的です。続くアレグロは展開部が簡略化されたソナタ形式で書かれており、全体として明るく躍動感に満ちています。演奏時間は約8分です。

第1幕

太守ムスタファの宮殿が舞台。

第2幕

総督の住居の小広間が舞台。

参考文献

最新名曲解説全集 歌劇2（音楽之友社）
ロッシーニ:オペラ序曲集（リッカルド・シャイー指揮,ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団）
ロッシーニ:序曲集（シャルル・デュトワ指揮,モントリオール交響楽団）

外部リンク

* アルジェのイタリア女の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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