アルタイ人

アルタイ人：シベリアの多様な民族

アルタイ人は、ロシア連邦南部、アルタイ山脈周辺に居住するテュルク系民族です。アルタイ共和国を主な居住地とし、アルタイ地方やケメロヴォ州にも分布しています。総人口は約7万人と推定され、その多くがアルタイ共和国に集中しています。アルタイ共和国全体の人口に占める割合は約31％です。歴史的には「ゴルノアルタイ人」とも呼ばれていました。十月革命後、民族集団として確立しました。

多様な呼称と構成員

アルタイ人という呼称以外にも、テレウト人、テレ人、テレンギト人、山のカルムイク人、白カルムイク、鍛冶屋タタールなどの呼称があります。「オイロート」という呼称も用いられることがありますが、これはロシアによるオイラト・モンゴル人との混同による誤称です。アルタイ人は、トゥバラル人、チェルカン人、クマンジン人、アルタイ・キジ人など、複数のテュルク系諸族から構成されており、民俗風習から南北のグループに大別されます。

南部と北部のグループ

南部アルタイ人はテレンギト人やテレウト人を含み、北部アルタイ人はトゥバラル人、チェルカン人、クマンドゥ人を含みます。それぞれのグループは、生活様式や文化に違いが見られます。歴史的には、北部グループはトナカイの飼育や狩猟、採集を、南部グループは農耕と牧畜を主な生業としていました。

遺伝子と歴史

アルタイ人の人種はモンゴロイドを基盤としながらも、コーカソイドの混血の影響も見られます。遺伝子分析では、印欧語族系ハプログループR1a (Y染色体)が40～50％という高い頻度を示し、次にアルタイ系のハプログループC2 (Y染色体)が15～25％です。ハプログループN (Y染色体)やハプログループD (Y染色体)も低い頻度で見られます。山岳地帯という地理的条件が、比較的古い遺伝子系統の存続に影響を与えていると考えられています。

歴史と文化

アルタイ人の金属加工技術は古く、紀元前2千年紀まで遡る歴史を持ちます。18世紀にはロシア帝国との接触が始まり、その影響を大きく受けました。今日、多くのアルタイ人がロシアのウォッカを嗜むという風習は、この歴史的背景を反映しています。伝統的には遊牧生活を送っていましたが、ロシアとの接触を通して定住生活に移行する者も増えました。宗教面では、伝統的なシャーマニズムを信仰する者もいれば、ロシア正教に改宗した者もいます。1904年には、「アク・ジャン」または「ブルハニズム」と呼ばれる新しいシャーマニズム運動も発生しました。

近現代の歴史

1917年のロシア革命後、アルタイ人はオイロート共和国を樹立しようと試みましたが、内戦の結果、ソ連に編入されました。1922年にオイロート自治州が設置され、1948年にはゴルノ・アルタイ自治州と改称されました。1991年のソ連崩壊後、アルタイ共和国の成立とともに、現在に至ります。アルタイ人は、独自の文化と歴史をもちながら、周囲の勢力との関わりの中で変化と発展を遂げてきた民族と言えるでしょう。

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