アルテシア

アルテシア（Artésia）とは

アルテシアは、かつてフランスとイタリアを結んでいた国際列車のブランド名であり、その運営を担っていた合弁企業名でもあります。列車の運行は、フランス側がフランス国鉄（SNCF）、イタリア側がトレニタリア（Trenitalia）という、両国の鉄道会社が共同で行っていました。

アルテシアは、パリとトリノ、ミラノを結ぶ昼行高速列車TGVと、パリとイタリア各地を結ぶ夜行列車を運行していました。夜行列車は「トレンホテル・アルテシア(Trenhotel Artésia)」とも呼ばれていました。しかし、2011年12月11日のダイヤ改正をもって、アルテシアとしての運行は終了し、TGVはフランス国鉄の直接運営へ、夜行列車は新会社Thello（テロ）へと引き継がれました。

アルテシアの歴史

夜行列車

アルテシア社は、1995年7月に設立されました。1996年夏のダイヤ改正からは、以下の4つのユーロナイト（夜行列車）の運行を担うことになりました。

パラティーノ(Palatino)：パリ（リヨン駅） - ジェノヴァ - ピサ - ローマ（テルミニ駅）
ガリレイ(Galilei)：パリ（リヨン駅） - ボローニャ - フィレンツェ
スタンダール(Stendhal)：パリ（リヨン駅） - トリノ - ミラノ（中央駅）
リアルト(Rialto)：パリ（リヨン駅） - ヴェローナ - ヴェネツィア（サンタ・ルチーア駅）

1999年3月には、パラティーノとリアルトに新型の豪華寝台車「エクセルシオール(Excelcior)」が連結され、2000年中には4往復全ての夜行列車に常時連結されるようになりました。

2001年6月10日には、LGV地中海線の開業に伴い、パリにおける夜行アルテシアの発着駅がリヨン駅からベルシー駅に変更されました。しかし、ベルシー駅はリヨン駅に比べて利便性が低く、格安航空会社の台頭もあり、夜行アルテシアの利用者数は2002年を境に減少に転じました。なお、2002年12月15日のダイヤ改正でパラティーノはシンプロントンネル経由に変更されています。

ガリレイは2002年6月16日からローマまで延長されましたが、2004年9月6日に廃止されました。さらに、12月12日のダイヤ改正ではリアルトも廃止され、スタンダールは経路が変更されました。この結果、残った夜行アルテシアは以下の2往復となりました。

パラティーノ(Palatino)：パリ - フィレンツェ - ローマ
スタンダール(Stendhal)：パリ - ミラノ - トリノ、ヴェネツィア（イタリア行はドモドッソラで分割、パリ行はミラノで併合）

夜行アルテシアへのエクセルシオール寝台車の連結は2005年12月のダイヤ改正で打ち切られました。また、スタンダールのトリノ発着編成は2006年のトリノオリンピック終了後に廃止されました。

シンプロントンネル経由の夜行アルテシアはスイス国内を経由しましたが、スイス国内での乗降扱いはありませんでした。このため、スイス入国にビザが必要な国の国民は、スイスがシェンゲン協定に加入するまで、スイスのトランジットビザを取得する必要がありました。このトランジットビザに関する注意書きは、2010年12月から時刻表から削除されました。

昼行列車

[1996年]]冬のダイヤ改正（9月29日）では、イタリア乗り入れに対応したTGV Réseau車両によるパリ - ミラノ間の昼行TGV2往復が新設されました。列車名は「アレクサンドル・デュマ(Alexandre Dumas)」と「アレッサンドロ・マンゾーニ]」でした。途中、[[シャンベリ、フレジュストンネル、トリノなどを経由しました。この2往復はTGVと同時にユーロシティとしても扱われました。

2000年夏のダイヤ改正では、パリ - ミラノ間のTGVを3往復に増やす計画がありましたが、直前になって中止されました。TGVの3往復化は2003年12月14日のダイヤ改正でようやく実現しました。なお、このとき、リヨン - トリノ、ミラノ間のユーロシティが廃止されました。

その後も、パリ - ミラノ間のTGVは、フレジュストンネルの工事などの影響で、一時的な減便やパリ - トリノ間への短縮などが行われました。2010年12月12日改正（2011年冬ダイヤ）時点での列車は以下の通りでした。

[TGV]]/EC9241・EC/TGV9248：「[[アレッサンドロ・マンゾーニ]」
TGV/EC9247・EC/TGV9242：「アレクサンドル・デュマ(Alexandre Dumas)」 （2011年トーマスクックヨーロッパ鉄道時刻表に列車番号と愛称は記載されていたが、時刻は掲載されておらず、運休中）
TGV/EC9249・EC/TGV9240：「カラヴァッジョ(Caravaggio)」

アルテシアの廃止

2011年12月11日のダイヤ改正をもって、アルテシアによる国際列車の運行は全て廃止されました。

パリ - ミラノ間のTGVは、フランス国鉄の直接運営（ただしイタリア国内では現地法人Societá Viaggiatori Italia）となり、ミラノでの発着駅が中央駅からポルタ・ガリバルディ駅に変更されました。

パリ - ヴェネツィア間の夜行列車は、トレニタリアとヴェオリア・トランスポールが新たに設立した合弁企業Thelloの運営となりました。ただし、「スタンダール」という列車名は廃止され、パリにおける発着駅はリヨン駅に変更されました。パリ - ローマ間のパラティーノは廃止されましたが、Thello社は2012年半ばに同区間の夜行列車の運行を再開する予定でした。

参考文献

「地球の歩き方」編集室 (2010). 『ヨーロッパ鉄道の旅』（改訂第4版）. ダイヤモンド社.
Malaspina, Jean-Pierre (2005) (フランス語). Train d'Europe Tome 1. La Vie du Rail.
Malaspina, Jean-Pierre (2006) (フランス語). Train d'Europe Tome 2. La Vie du Rail.
Thomas Cook European Timetable, Thomas Cook
Thomas Cook European Rail Timetable, Thomas Cook

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