アルバジン

アルバジン砦の歴史と重要性

アルバジン（ロシア語: Албазин）、またはヤクサ（満州語: yaksa）は、モスクワ国家とロシア帝国によって建立された砦です。この砦は、アムール川流域において極東進出の重要な拠点となりました。現地のダウール族の領土であるアルバザにちなんで名付けられ、ロシア語の物主形容詞がその名称の由来となっています。現在、この砦の跡地には、小さなアルバジノー村が存在し、周辺は草地に覆われ、土塁の跡が見られます。また、砦で戦死した兵士たちを弔うための教会もあり、歴史の名残を留めています。

歴史的背景

アルバジンの位置は、黒竜江城から北西に1300キロメートル離れたところにあり、当時はツングース系民族のエヴェンキ族のソロン族及びダウール族によって構築された木造の町がありました。この地域は、ウルムスタン村のボムボゴール王子が治めていたとされていますが、彼はモンゴルの父ホンタイジに逆らったために平定されたとされます。

17世紀頃、ロシアはシベリア地域への進出を進め、毛皮獲得を目指していました。トボリスクやマンガゼヤなどを経て、1651年にエロフェイ・ハバロフに率いられたコサックたちがアムール川の近くにアルバジン砦を建設しました。初めは現地のニツェフォル・チェルニホフスキが指揮を執っていましたが、ロシア式の簡素な木製砦であるこの拠点は、中国の記録においては、中国的な石造の城壁を備えた要塞として描かれることもありました。この地域には穀物の生産が可能であったため、ロシア農民の移住も見られました。

一方、ロシアの動きに対し警戒を強めた清は、1659年にアルバジンを攻撃し、砦を破壊しました。しかし、1665年には再建され、1685年には再度清の攻撃により陥落しました。ロシア側はネルチンスクから軍事支援を受け、勢力の回復を試みました。1686年には再び軍事衝突が起き、両国の対立が続きました。

この問題を解決するため、1689年にはネルチンスク条約が結ばれ、アルバジンを含むアムール川流域は清に属することが確認され、砦は取り壊されることが合意されました。この合意により、ロシアはアムール川方面への拡張が困難となり、代わりにオホーツク港を経由してカムチャツカ半島へ向かう方向へ進出を強めることとなりました。

1858年には清の力が衰え、愛琿条約（アイグン条約）が締結され、アムール川以北がロシア領となりました。この結果、アルバジンもロシアの統治下に入り、かつての砦の近くには新たにアムール・コサックの拠点が設置されました。

このように、アルバジン砦の歴史はロシアと清の国境問題、並びにその後の地域の動向を反映した重要な出来事です。

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