アルフィオス川

アルフィオス川（ギリシア語: Αλφειός, Alfeios）は、ペロポネソス半島で最も長い川であり、その全長は約110キロメートルに及びます。古代ギリシア語ではアルペイオス川、あるいはアルフェイオス川とも呼ばれていました。この川は、アルカディア県とイリア県という、ペロポネソス半島の中央部を流れています。

源流は、トリポリとメガロポリの間に位置する、アルカディア高地のドリザス村付近にあります。川は当初、褐炭の露天掘りを避けるようにメガロポリ方面へと南西に流れます。その後、トクニアでエリソナス川と合流すると、流れの向きを北に変え、カリタイナへと向かいます。カリタイナの下流でルシオス川と合流した後は、さらに北西へと進路を変え、アンドリトサイナの北側を通過します。トリポタミアの近くでラドン川およびエリマントス川と合流した後、オリンピアを西へと流れ、最終的にはピルゴスの南でイオニア海に注ぎ込みます。

歴史的に見ると、パトラスからカラマタへと至る古代の街道は、オリンピアの東側ではほぼアルフィオス川に沿って通っていました。この事実は、アルフィオス川が古代から交通路としても重要な役割を果たしていたことを示唆しています。

アルフィオス川は、ギリシア神話にも登場します。アウゲイアースの家畜小屋の掃除をヘーラクレースが行った際、アルペイオス川（アルフィオス川）とペーネイオス川（ピニオス川）の流れが利用されたという逸話は有名です。これは、ヘーラクレースの12功業の5番目の功業として知られています。また、ロジェ・カイヨワの詩「アルペイオスの流れ」(Le fleuve Alphée) は、この川を主題としています。

さらに、ウェルギリウスの叙事詩「アエネーイス」では、アルフィオス川は海底を流れ、その後シチリアのオルティジア島で再び地上に現れるとされています。この描写は、アルフィオス川に対する古代の人々の神秘的なイメージを反映していると言えるでしょう。

このように、アルフィオス川は、地理的な特徴だけでなく、歴史や神話、文学作品にもその名が登場する、非常に重要な川です。その流れは、ペロポネソス半島の自然と文化に深く根ざしており、古代から現代に至るまで、人々に影響を与え続けています。

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