アルフォンソ1世・デステ

アルフォンソ1世・デステ（Alfonso I d'Este, 1476年7月21日 - 1534年10月31日）は、ルネサンス期のイタリアにおいて、モデナ＝レッジョ公およびフェラーラ公として権勢を誇った人物です。また、コンドッティエーレ（傭兵隊長）としての顔も持ち、カンブレー同盟戦争をはじめとする数々の戦いで活躍しました。父はエルコレ1世・デステ、母はレオノーラ・ダラゴーナであり、姉にはルネサンスの華と謳われたイザベッラ・デステとベアトリーチェ・デステがいます。

1505年に公位を継承したアルフォンソ1世は、その直後から兄弟間の陰謀に直面します。実弟フェランテと異母弟ジューリオが、アルフォンソ1世と弟のイッポーリト枢機卿に対して反乱を企てたのです。1506年9月、2人は不敬罪で逮捕され死刑を宣告されますが、アルフォンソ1世は情けをかけ絞首刑を終身刑に変更しました。兄弟はトッレ・ディ・レオニの独房に幽閉され、フェランテは34年後に獄死、ジューリオは53年もの幽閉生活の後、ようやく赦免されました。釈放後、ジューリオは時代遅れの服装をしていたため、フェラーラの街で嘲笑の対象になったと言われています。

アルフォンソ1世は、イタリア戦争においてカンブレー同盟側につきます。ローマ教皇ユリウス2世から司令官に任命され、ポレセッラの戦いでボローニャを占領しますが、1510年にユリウス2世に破門され、フェラーラは教皇領とされてしまいます。その後も、ヴェネツィア共和国や教皇庁の敵と戦い続け、1512年のラヴェンナの戦いでは、フランス軍を勝利に導く重要な役割を果たしました。この勝利は、巨大な大砲「ラ・ジューリア」を含むフェラーラの兵器の貢献が大きかったとされています。

1526年には、教皇クレメンス7世から再び破門され、ローマに幽閉されるという事態に見舞われます。これがローマ略奪のきっかけの一つとなりました。1530年、神聖ローマ皇帝カール5世と和解したクレメンス7世は、アルフォンソ1世の破門を解き、モデナとレッジョを彼に与えました。

父エルコレ1世と同様に、アルフォンソ1世も芸術のパトロンとして知られています。彼は、アントワーヌ・ブリュメルやアドリアン・ヴィラールトといった音楽家を宮廷に招き、ルネサンス文化の発展に貢献しました。

アルフォンソ1世は、生涯で2度の結婚を経験しています。最初の妻は、1496年に結婚した美貌の持ち主アンナ・マリーア・スフォルツァで、ガレアッツォ・マリーア・スフォルツァの娘です。しかし、アンナは1497年に女児を死産し、産褥死してしまいます。1501年には、アレクサンデル6世の娘ルクレツィア・ボルジアと再婚しました。ルクレツィアにとって、この結婚は3度目でした。

ルクレツィアとの間には、以下の子どもたちが生まれました。

アレッサンドロ（1505年）
女児（1507年、死産）
エルコレ2世（1508年 - 1559年）
イッポーリト（1509年 - 1572年） - 枢機卿
アレッサンドロ（1514年 - 1516年）
エレオノーラ（1515年 - 1575年） - フェラーラ、コルプス・ドミーニ修道院長
フランチェスコ（1516年 - 1578年） - マッサロンバルダ侯
イザベッラ＝マリーア（1519年、死産）

また、ラウラ・ディアンティとの間には、2人の庶子がいました。

アルフォンソ（1527年 - 1587年） - モンテッキオ侯。ジューリア・デッラ・ローヴェレと結婚後、ヴィオランテ・シーニャと再婚。チェーザレ・デステの父。
アルフォンシーノ（1530年 - 1547年） - カステルヌオーヴォ伯

このように、アルフォンソ1世は、軍事、政治、文化の各分野で目覚ましい活躍を遂げただけでなく、複雑な家族関係にも彩られた波乱に満ちた生涯を送った人物でした。

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