アルフレッド・スコット＝ゲティ

サー・アルフレッド・スコット・スコット=ゲティ（Sir Alfred Scott Scott-Gatty, 1847年4月26日 - 1918年12月18日）は、イギリスの紋章官として重要な役割を果たし、最終的には紋章官の頂点であるガーター主席紋章官にまで上り詰めました。

生涯

1847年、アルフレッド・ゲティの次男として、現在のウェスト・ヨークシャー州に位置するエクルズフィールドで生を受けました。彼はケンブリッジ大学のクライスト・カレッジで学び、学問を修めました。紋章官としてのキャリアは、ルージュ・ドラゴン紋章官補ステファン・タッカーの臨時秘書を務めたことから始まりました。その後、1880年にルージュ・ドラゴン紋章官補、1886年にはヨーク紋章官に任命され、着実にその地位を確立していきました。1892年には、母方の姓である「スコット」を自身の家名に加え、「スコット=ゲティ」と改名しました。

1904年、スコット=ゲティは紋章官の最高位であるガーター主席紋章官に就任しました。彼の在任中には第一次世界大戦が勃発し、イギリス国内では反ドイツ感情が高まりました。そのような状況下で、国王ジョージ5世は、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世からガーター勲章を剥奪すべきであるという新聞への投書を目にし、スコット=ゲティに勲章剥奪の可否を諮問しました。これに対し、スコット=ゲティは、投書の内容が史実に基づいていること、そして国王が騎士団の主権者として剥奪が可能であることを回答しました。この一件は、当時の社会情勢と、紋章官の職務が単なる儀礼にとどまらない、政治的な側面も持ち合わせていることを示しています。

スコット=ゲティは、紋章官としての活動だけでなく、アマチュアの作曲家としても知られていました。彼の作品は当時人気を博し、特に「プランテーション・ソング」は広く親しまれたと伝えられています。多才な人物であったことが伺えます。

1918年、スコット=ゲティはガーター主席紋章官の職にあるまま、ロンドンで生涯を閉じました。彼の遺体は、ロンドン近郊のウェリンに埋葬されました。

栄典

聖ジョン勲章ナイト（KStJ）
ロイヤル・ヴィクトリア勲章ナイト・コマンダー（KCVO）



スコット=ゲティの生涯は、紋章官としての卓越したキャリアと、音楽家としての才能、そして激動の時代における国王への助言を通じて、多岐にわたる貢献を示しています。彼の足跡は、紋章学の歴史だけでなく、イギリスの社会史においても重要な意味を持っています。

参考文献
* 君塚直隆『女王陛下のブルーリボン-英国勲章外交史-』（初版）中央公論新社、2014年

もう一度検索