アルペス・コッティアエ

アルペス・コッティアエは、古代ローマ帝国が支配した属州の一つであり、「アルペス」の名を冠する3つの属州（アルペス・マリティマエ、アルペス・ポエニナエ）の中でも特に重要な位置を占めていました。その名前は、現在も「コッティアン・アルプス」として地図上にその名残をとどめています。

地理的特徴と位置関係

アルペス・コッティアエ属州は、その地理的な位置関係から、ローマ帝国の重要な拠点となっていました。具体的には、西にガリア・ナルボネンシス属州、南にアルペス・マリティマエ属州、北にアルペス・ポエニナエ属州と接し、東はイタリア本土に面していました。この位置関係は、アルペス・コッティアエがローマとガリアを結ぶ重要な交通路を抑える役割を担っていたことを示唆しています。州都は、現在のイタリアのスーザにあたるセグシウムに置かれ、この都市が属州の行政と文化の中心として機能していました。

歴史的変遷

アルペス・コッティアエの歴史は、紀元前1世紀まで遡ります。当時、この地域はリグリア人によって支配されていましたが、初代ローマ皇帝アウグストゥスの時代にローマの支配下に入り、その従属国となりました。その後、ネロ帝の時代になると、アルペス・コッティアエはローマ帝国の皇帝属州となり、皇帝直轄の領土として組み込まれました。この変化は、ローマ帝国がアルプス地域における支配を強化し、その資源と交通路をより直接的に管理しようとした結果であると考えられます。

統治体制

皇帝属州となったアルペス・コッティアエでは、皇帝の代理としてエクィテス（騎士階級）出身のローマ人が属州総督に任じられ、行政、司法、軍事といった属州内の統治全般を担いました。総督は、属州の安定と秩序を維持し、ローマ本国への忠誠を確保する役割を果たしました。また、属州からの税収を管理し、ローマ帝国の財政を支える役割も担っていました。

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