アルヴィス plc

アルヴィス plc：イギリス軍用車両メーカーの興亡史

アルヴィス plc は、かつてイギリスを代表する軍用車両メーカーとして知られていました。2004年にBAEシステムズに買収されるまで、数々の買収や合併を経て、その歴史を刻みました。本稿では、アルヴィスの歴史、事業展開、そしてその終焉について詳細に解説します。

アルヴィスの起源と初期

アルヴィスのルーツは、1965年にローバー傘下となったアルヴィス・カー・アンド・エンジニアリング・カンパニーに遡ります。1967年頃からは軍用車両製造に重点を移し、その後、ブリティッシュ・レイランドに吸収合併されました。1981年、ユナイテッド・サイエンティフィック・ホーディングスがブリティッシュ・レイランドからアルヴィス部門を2700万ポンドで買収し、アルヴィス・リミテッドを設立。これがアルヴィス plc の始まりです。当初、ユナイテッド・サイエンティフィックは軍用光学機器メーカーでしたが、アルヴィスの買収により事業を多角化しました。

成長と買収戦略

1992年には社名をアルヴィス plc に変更。その後、インドネシアへの戦車輸出契約や、スウェーデンのヘグランド社の買収など、積極的な事業展開を図ります。ヘグランド社の買収により、アルヴィスは装甲戦闘車両CV90シリーズの製造権を獲得し、フィンランドのパトリアとの共同開発による自走迫撃砲AMOSの受注権も手にしました。これにより、アルヴィスはビッカース、GKNと並ぶ主要軍用車両メーカーとしての地位を確立しました。

1998年にはGKN plcの軍用車両部門を買収、GKNはアルヴィスの株式を29.9％保有する大株主となりました。この買収により、アルヴィスの生産拠点は、テルフォード、ニューカッスル・アポン・タイン、リーズ、ウォールバーハントンへと拡大しました。さらに、1999年にはMRAVの国際共同開発契約を獲得するなど、その勢いは止まるところを知りませんでした。

2002年には、ロールス・ロイス・ホールディングスからヴィッカース・ディフェンス・システムズなどを買収。これにより、アルヴィス・ヴィッカースを設立し、チャレンジャー2戦車を筆頭とする幅広い軍用車両を扱う一大企業となりました。

終焉とBAEシステムズへの買収

2004年、アルヴィスはジェネラル・ダイナミクスからの買収提案を受け入れましたが、大株主であるBAEシステムズが対抗買収を提案。激しい争奪戦の末、BAEシステムズによる3億5500万ポンドでの買収が決定しました。これにより、長きにわたるアルヴィス plc の歴史は幕を閉じ、その事業はBAEシステムズ・ランド・アンド・アーマメンツに統合されました。

まとめ

アルヴィス plc は、軍用車両メーカーとしてイギリスの防衛産業に大きく貢献しました。買収と合併を繰り返し、事業を拡大していきましたが、最終的にはBAEシステムズに吸収されました。その歴史は、イギリス軍需産業の変遷と、激しい国際競争を生き抜こうとした企業努力の物語として、今後とも語り継がれるでしょう。アルヴィスが製造した車両は、世界各地でその性能を証明し、その名は歴史に刻まれています。

もう一度検索