ホイストザフラッグ

ホイストザフラッグ(Hoist The Flag)は、アメリカで活躍した競走馬であり、種牡馬としても大きな成功を収めたサラブレッドです。1970年のカウディンステークスや1971年のベイショアステークスなど、数々の重賞競走を制覇しました。特に、1970年には2歳牡馬チャンピオンの栄冠に輝き、その名を競馬史に刻み込みました。

ホイストザフラッグの生い立ちも華麗です。生産者は、名牝グーフドなどを送り出した著名な生産者ジョン・M・シフ氏。父は、ヨーロッパ王者リボーの代表産駒にして1965年アメリカ3歳牡馬チャンピオンのトムロルフ、母はアメリカクラシック三冠馬ウォーアドミラルの血を引くウェイビーネイビーという、まさに名門の血統を受け継いでいました。1歳時には、ジェーン・フォーブス・クラーク1世氏によって高額で買い取られ、名調教師シドニー・ワッターズ・ジュニア氏の手腕によって鍛え上げられました。ワッターズ・ジュニア氏は後にアメリカ競馬殿堂入りを果たしています。

2歳時には早くも世代トップクラスの実力を見せつけ、クラシック戦線での活躍が期待されました。実際、4勝を挙げ華々しいデビューを飾りますが、シャンペンステークスでは他馬への妨害により失格という苦い経験もしました。その後、頸部を負傷し、療養を余儀なくされますが、1970年には見事、2歳牡馬チャンピオンに選出されました。

1971年、ボウイ競馬場でのレースで復帰を果たすと、アケダクト競馬場で行われたベイショアステークスではコースレコードで優勝。勢いに乗ってケンタッキーダービーの前哨戦であるゴーサムステークスへの出走を目指しましたが、調教中に右後肢を骨折する重傷を負い、惜しまれつつも競走馬としてのキャリアを終えることになりました。

しかし、ホイストザフラッグの物語はここで終わりません。骨折からの手術とリハビリを経て、ケンタッキー州パリス近郊のクレイボーンファームで種牡馬としての第二の人生を歩み始めます。254頭もの産駒を残し、その多くが活躍しました。代表的な産駒としては、1977年と1978年に凱旋門賞を連覇したアレッジド、1976年アメリカ2歳牝馬チャンピオンのセンセーショナルなどが挙げられます。他にもブルーグラスステークスを制したLinkage、ノーフォークステークスとハリウッドフューチュリティを制したStalwartなど、数々の重賞ウイナーを輩出しました。

ホイストザフラッグの血統の偉大さは、母父としても顕著に現れています。その孫世代には、北米リーディングサイアーに輝いたブロードブラッシュ、G1競走を複数勝したパーソナルフラッグやクリプトクリアランス、ブリーダーズカップ・ディスタフを制したパーソナルエンスン、さらにアメリカ3歳牝馬チャンピオンのサカウイスタなどが名を連ねます。

1980年、ホイストザフラッグはクレイボーンファームでその生涯を終えましたが、その偉大な功績は、没後も長く語り継がれています。1987年には北米リーディングブルードメアサイアーを獲得。さらに、名騎手ジャン・クリュゲは、2004年のインタビューで「これまで乗った中で最高の馬はホイストザフラッグだ」と証言しています。これは、ホイストザフラッグの能力と影響力の大きさを物語る、何よりの証と言えるでしょう。ホイストザフラッグの血統は、現代競馬においても、その影響力を持ち続けています。彼の遺伝子は、数々の名馬を生み出し、競馬界に多大な貢献を果たしたと言えるでしょう。

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