ヴィンセント・オブライエン

ヴィンセント・オブライエンについて

ヴィンセント・オブライエン（Michael Vincent O'Brien）は、アイルランドの競馬界において極めて重要な役割を果たした調教師である。1917年4月9日にアイルランドのコーク県で生まれ、2009年6月1日にオーストラリアのパースで92歳で逝去した。彼は競馬の世界における伝説とされ、ブリティッシュ・チャンピオンズシリーズの名誉の殿堂にも名を刻まれている。

オブライエンは、数々の大競走を制覇し、その中でも特にイギリスダービーでの6度の勝利が著名である。2003年には、レーシング・ポスト紙のRacing Great 100において最も偉大な調教師として選ばれ、これにより彼の卓越した才能と業績が広く認知された。彼の息子、デイヴィッド・オブライエンも同様に競馬調教師であり、イギリスダービーを制した実績を持つ。

初期の経歴と障害競走への進出

ヴィンセントは、調教師としてのキャリアを障害競走からスタートさせ、次第にその名を馳せていく。彼はグランドナショナルでの三度の勝利を含む数々の成功を収めている。また、コテージレークを指導し、チェルトナムゴールドカップを三連覇させるなど、障害競走においても輝かしい戦績を誇った。

1951年、彼はティペラリー県に新たな厩舎を開設し、平地競走の分野にも乗り出す。1962年には、ラークスパーでイギリスダービーを初めて制し、その後もニジンスキーやザミンストレルなどの名馬を育て、計6度のダービー制覇を達成した。特にニジンスキーとのコンビでは、レスター・ピゴット騎手と共にイギリスクラシック三冠を制し、彼の名声を一層高めることとなった。

クールモアスタッドの設立

1970年代には、オブライエンはロバート・サングスターとともに競馬界において大きな影響力を持つ存在となる。この時期、娘婿のジョン・マグナーと共にクールモアスタッドやバリードイル厩舎を設立し、ノーザンダンサー系の競走馬の育成で成功を収めた。これにより、オブライエンは競馬界の巨星としての地位を確立した。

彼の調教師引退後、バリードイル厩舎は息子のエイダン・オブライエンに引き継がれ、競馬界における名門として現在もその影響力を保っている。オブライエンの業績はその後の競馬界にも多大な影響を与え、彼を偉大な調教師として記憶に残す。

主な管理馬

彼が手掛けた名馬には、サーアイヴァー（イギリスダービー、2000ギニー）、ニジンスキー（イギリスクラシック三冠、キングジョージ6世＆クイーンエリザベスステークス、アイリッシュダービー）、ロベルト（イギリスダービー）、ザミンストレル（イギリスダービー、キングジョージ6世＆クイーンエリザベスダイヤモンドステークス、アイリッシュダービー）などがある。また、アレッジド（凱旋門賞2回）、エルグランセニョール（2000ギニー、アイリッシュダービー）、ローソサイエティ（アイリッシュダービー）、サドラーズウェルズ（アイリッシュ2000ギニー）、ロイヤルアカデミー（ブリーダーズカップ・マイル、ジュライカップ）など、数多くの名馬が彼の指導の下で成功を収めた。

彼の遺産

ヴィンセント・オブライエンは、その競馬界における偉大な業績により、現在も多くの競馬ファンや関係者に尊敬され続けている。彼の逝去を受けて、ナショナルステークスは「ヴィンセント・オブライエンナショナルステークス」と改名され、彼の功績を称える場ともなった。'

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