アンティータム (空母)

アメリカ海軍航空母艦「アンティータム」の艦歴

「アンティータム」(USS Antietam, CV/CVA/CVS-36)は、アメリカ海軍のエセックス級航空母艦であり、同級の15番艦として就役しました。艦名は南北戦争の激戦地、アンティータムの戦いに由来します。本艦は、その後の航空母艦の発展に大きく貢献した、特筆すべき存在です。

第二次世界大戦

1943年3月15日にフィラデルフィア海軍造船所で起工され、1944年8月20日に進水、1945年1月28日に就役しました。第二次世界大戦には竣工が間に合わず、実戦参加の機会はありませんでしたが、終戦直後の占領支援任務に就きました。黄海を中心に活動し、中国北部、満州、朝鮮半島のアメリカ占領軍を支援、国共内戦の監視にも従事しました。

朝鮮戦争

1949年に予備役編入されましたが、朝鮮戦争勃発により1951年1月17日に再就役。第77空母機動部隊と共に朝鮮半島沖に展開し、4度の作戦に参加しました。艦載機は北朝鮮への攻撃や国連軍地上部隊の支援など、6,000回を超える出撃を記録しました。

アングルド・デッキの実験艦

1952年、アンティータムはアメリカ海軍の空母として初めてアングルド・デッキを装備する改装を受けました。これは、当時最新技術であったアングルド・デッキの有用性を検証するための実験的な試みでした。他のエセックス級空母がジェット機運用能力向上のための改装を経てアングルド・デッキを装備したのに対し、アンティータムは第二次世界大戦時の姿をほぼそのままに、アングルド・デッキを持つという特異な外観となりました。

この改装によって、アンティータムは発着艦の安全性が向上し、運用効率が大幅に改善されました。アングルド・デッキの有効性が実証されたことで、その後の空母設計に大きな影響を与え、エセックス級やミッドウェイ級への導入、さらにはフォレスタル級以降の新型空母への標準装備へと繋がりました。

その後の活動と退役

1953年には対潜水艦作戦支援空母に艦種変更され、大西洋艦隊に所属。NATOの対潜水艦戦演習に参加するなど、冷戦下での任務に従事しました。1957年からは海軍航空訓練基地に配属され、パイロットの訓練や新型機材のテストに貢献。ハリケーンの被災地への支援活動も行いました。

1963年1月7日に予備役となり、1973年5月に除籍。1974年にスクラップとして売却され、その生涯を終えました。

遺産

「アンティータム」は朝鮮戦争での戦功により2つの従軍星章を受章しました。その艦名は、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦8番艦に引き継がれ、今もその名を残しています。

「アンティータム」は、その短い生涯の中で、第二次世界大戦後の激動期におけるアメリカ海軍の活動を支え、航空母艦の技術革新に大きく貢献しました。特に、アングルド・デッキの実験艦としての役割は、現代の空母設計に不可欠な要素をもたらし、その功績は決して忘れられることはありません。

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