アントワネット・シブリー

アントワネット・シブリー: イギリスのバレエ界のレジェンド

アントワネット・シブリー（Antoinette Sibley, DBE）は、1939年2月27日にロンドン郊外のブロムリーに誕生したイギリスの著名なバレエダンサーです。1956年にロイヤル・バレエ学校を卒業し、同年にロイヤル・バレエ団に入団。その後もバレエ界でのキャリアを築き上げ、多くの重要な役柄を演じました。さらに、アンソニー・ダウエルとのパートナーシップは特に評価を受け、彼女のダンスには深い叙情性が溢れていました。

初期のキャリア

彼女の初舞台は1956年1月に『白鳥の湖』で白鳥としてデビューしたことで始まります。当初は小役からスタートし、その後、シブリーの素質が少しずつ認められ始めます。『コッペリア』のスワニルダの友人役や、『眠れる森の美女』の赤ずきん役で踊ることで、徐々に舞台経験を積み重ねました。特に、The Dancing Times誌のジョアン・ローソンはシブリーの豊かな表現力や流れるようなラインを評価しました。

1959年、ロイヤル・オペラ・ハウスでの昼公演で、彼女はついに主役を演じる機会を得ました。この公演では『コッペリア』のスワニルダ役を見事に演じ、今後の飛躍のきっかけとなります。その後、タマーラ・カルサヴィナから指導を受け、技術を更に磨く機会を得ます。意外な転機として、1959年10月には『白鳥の湖』のオデット/オディール役を踊り、批評家たちから高い評価を受けることとなりました。

ダンサーとしての飛躍

1961年には、アルフレッド・ロドリゲスの振付による『Jabez and a Devil』で初めて重要な役を演じ、その後も様々な主役を務めます。特に、同年12月27日には『眠れる森の美女』でオーロラ姫役を演じ、その魅力的なパフォーマンスは多くの賛辞を浴びました。この時期、彼女の舞台での存在感や演技力は多くの観客を虜にしていきました。

フレデリック・アシュトンの『The Dream』は、彼女とアンソニー・ダウエルとの新しいパートナーシップを確立した作品であり、シブリーにとっても重要な役割を果たしました。この作品の評価は高く、シブリーの素早い身のこなしと、ダウエルの流れるようなフレージングが見事に調和しました。この成功により、シブリーは現代バレエの歴史に名を刻むこととなりました。

また、彼女は『ロメオとジュリエット』や『ジゼル』などの名作でも主要な役を演じており、それらの作品は今なお語り継がれています。アシュトンの『エニグマ変奏曲』では、彼女の表現力豊かな演技が特に際立ち、多くの人々の心に刻まれました。

引退とその後の活動

1979年、シブリーは一度引退を考えましたが、その後の数ヶ月は怪我に悩まされ続けました。最終的には1989年に引退を正式に発表しました。引退後は教育の道に進み、1991年からロイヤル・アカデミー・オブ・ダンスの総裁を務め、バレエ界に貢献し続けました。2000年からはロイヤル・バレエ団の理事会会長も務め、教育と舞台の両面で次世代への指導を行っています。

彼女の名前を冠したスタジオがフランシス・ホランド・スクールに設けられ、彼女の偉大な業績を記念しています。このスタジオでは、シブリーの舞台での姿を収めた写真が展示され、彼女の遺産が今なお語り継がれています。

私生活の一端

シブリーは1964年にロイヤル・バレエ団のプリンシパルだったマイケル・サムズと結婚しましたが、1973年に離婚します。その後、1974年に銀行家のリチャード・パントン・コルベットと再婚し、1男1女を授かりました。コルベット氏は2021年に83歳で亡くなりました。

アントワネット・シブリーはその卓越した技術と表現力、さらに教育者としての役割により、今なおバレエ界に大きな影響を及ぼし続ける存在です。彼女の業績と精神は、未来のダンサーたちに引き継がれていくことでしょう。

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