フレデリック・アシュトン

フレデリック・アシュトン：英国バレエ界の巨匠

フレデリック・アシュトン卿（Sir Frederick William Mallandaine Ashton, 1904年9月17日 - 1988年10月18日）は、20世紀を代表するイギリスのバレエダンサー、そして卓越した振付家として知られています。

生涯

アシュトンは、エクアドルのグアヤキルで英国人外交官の家庭に生まれました。幼少期にペルーでアンナ・パヴロワの舞台を観たことがきっかけで、ダンサーを志すようになります。18歳でロンドンの貿易会社に就職しますが、密かにレオニード・マシーンのレッスンに通い始め、その後マリー・ランバートのバレエスクールに入学。本格的にバレエの道へと進みます。

1928年にはパリでイダ・ルビンシュタインのカンパニーに所属し、翌年ロンドンに戻りバレエ・ランバートに入団。タマーラ・カルサヴィナやアリシア・マルコワといった名ダンサーのパートナーとして舞台に立ちました。この頃から、ランバートやブロニスラヴァ・ニジンスカの影響を受け、振付家としての才能を開花させていきます。

ロイヤル・バレエ団での活躍

1935年、アシュトンはニネット・ド・ヴァロアが主宰するヴィック・ウェルズ・バレエ（後のロイヤル・バレエ団）に入団。ダンサー兼主席振付家として、その才能をいかんなく発揮します。1960年の「ラ・フィユ・マル・ガルデ（リーズの結婚）」の改訂振付の成功によって、国際的な名声を確立しました。

アシュトンの作品は、確かなバレエテクニックを基盤としながらも、物語的要素が強く、どこかユーモラスな点が特徴です。彼はまた、優れたキャラクターダンサーでもあり、「シンデレラ」の醜い姉役をコミカルに演じ、観客を沸かせました。

アシュトンは、マーゴ・フォンテインを数多く起用し、彼女とルドルフ・ヌレエフのために振り付けた「マルグリットとアルマン」（1963年）は、特に有名です。この作品は、二人のスターダンサーの魅力を最大限に引き出し、バレエ史に残る傑作として高く評価されています。

1962年には、バレエへの貢献が認められナイトの称号を授与されました。1963年から1970年までロイヤル・バレエ団の芸術監督を務め、後任のケネス・マクミランと共に、同バレエ団を世界有数のバレエ団へと発展させました。

1988年、アシュトンはサフォークの自宅で生涯を閉じました。

主な作品

ラ・ペリ （1931年）
レ・パティヌール～スケートをする人々～（1937年）
シンフォニック・バリエーション （1946年）
バレエの情景 （1948年）
シンデレラ （1948年）
ダフニスとクロエ （1951年）
シルヴィア （1952年）
誕生日の贈り物（1956年）
ラ・ヴァルス （1958年）
リーズの結婚 （1960年）
二羽の鳩 （1961年）
マルグリットとアルマン （1963年）
* エニグマ・バリエーションズ （1968年）

これらの作品は、現在も世界中のバレエ団で上演され、アシュトンの遺産は生き続けています。彼の革新的な振付と、バレエへの深い愛情は、後世のダンサーや振付家たちに多大な影響を与え続けています。

もう一度検索