アンソニー・ダウエル

アンソニー・ジェームズ・ダウエル：イギリスのバレエ界の巨星

アンソニー・ジェームズ・ダウエル（1943年2月16日生まれ）は、イギリスの元バレエダンサーであり、ロイヤル・バレエ団の芸術監督をつとめた著名な人物です。彼は20世紀の傑出したダンスール・ノーブルとして知られ、数々の舞台作品において不可欠な存在でした。ダウエルのキャリアは、彼の素晴らしい技術と演技力によって彩られ、多くの後進のダンサーたちに影響を与えました。

幼少期と教育

ダウエルはロンドンで生まれ、5歳からダンスを始めます。初の師であるジューン・ハンプシャーに出会い、ダンスだけでなくバレエに臨む姿勢や規律も学びました。10歳の時、サドラーズ・ウェルズ・バレエ学校（現ロイヤル・バレエ学校）に入学し、バレエダンサーとしての基礎を築きました。彼の特異な体格と熱心なトレーニング精神は、彼を優秀な生徒に育て上げました。1960年に卒業し、コヴェント・ガーデン・オペラ・バレエに加わったダウエルは、その後ロイヤル・バレエ団に移籍します。

ダンサーとしてのキャリア

デンマークの振付家エリック・ブルーンは、ダウエルの才能を見抜き、1962年の公演『ナポリ』で彼にソロ・バリエーションを振り付けます。彼の才能は更に進化し、1964年にはフレデリック・アシュトンが振付けた『夢』でオベロン役に起用されます。ダウエルの快活で洗練されたダンスが高く評価され、彼はロイヤル・バレエ団のトップ男性ダンサーとしての地位を確立しました。特に、アントワネット・シブリーとのパートナーシップはその後の数多くの成功をもたらしました。

彼は1966年にプリンシパルに昇格した後、クラシック・バレエのスタイルを体現し、様々な演劇的役柄を通じて新たな表現に挑戦しました。『ジゼル』や『白鳥の湖』などの古典的な役柄を演じながら、特に『シャドウプレイ』や『エニグマ変奏曲』など、演技力を活かした数多くの作品に出演しました。ダウエルは自らのスタイルを発展させつつ、新たな振付家や作品に積極的に取り組み、さまざまな役を通じて自身の技術と表現力を磨いていきました。

また、ダウエルは舞台活動の合間に衣装デザインにも挑戦し、アシュトンやマクミランの作品で自らの衣装を手がけました。1980年代には、アメリカン・バレエ・シアターに客演し、新しいレパートリーにも挑むなど、活動の幅を広げました。彼の演技は感涙を誘うものが多く、また、その情熱的なスタイルが特に称賛されました。

指導者としての活動

1984年にロイヤル・バレエ団から引退した後、ダウエルはバレエ業界での指導者としてのキャリアを築きました。彼はロイヤル・バレエ団の芸術監督に任命され、若手ダンサーの育成に尽力しました。特に、ダーシー・バッセルやシルヴィ・ギエムなど、後のスターたちの才能を発掘しました。しかし、彼が手掛けた『白鳥の湖』の改訂にも賛否がありましたが、ダウエルの演出は一定の評価を受けました。彼は多くの作品の振付や演出を手がけ、その後もバレエ界における影響力を保持し続けました。

栄誉と私生活

ダウエルは、その業績により多くの賞を受賞しました。ダンス界における貢献が評価され、大英帝国勲章を受勲し、さらにはナイトに叙任されるなど、数々の栄誉を得ています。私生活では、彼のセクシュアリティに関しては慎重でしたが、彼がデレク・レンチャーやジェイ・ジョリーとの関係を持ったことは知られています。

現在

現在もダウエルは、客任コーチや理事として活動を続けており、国際的なバレエ団の演出を担っています。彼のキャリアは、これからも多くのバレエ愛好家に影響を与えることでしょう。

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