アントワーヌ・ヴァロア＝フォルティエ

アントワーヌ・ヴァロア＝フォルティエ：カナダ柔道界の至宝

アントワーヌ・ヴァロア＝フォルティエ（Antoine Valois-Fortier）は、1990年3月13日、カナダのケベック州ケベック・シティーに生まれました。身長190cmの体格を生かした柔道スタイルで、81kg級の選手として国際舞台で活躍しました。

幼少期からの柔道人生

5歳で柔道を始めたヴァロア＝フォルティエは、早くからその才能を発揮し、着実に実力をつけていきました。2011年の世界選手権では、2回戦で強豪オーレ・ビショフに敗れるという苦い経験もしましたが、それを乗り越え、2012年のパンナム選手権では2位に入賞しました。

ロンドン五輪での躍進

ヴァロア＝フォルティエの名を世界に知らしめたのは、2012年のロンドンオリンピックでした。無名に近い存在ながら、初戦で北京五輪73kg級金メダリストのエルヌル・ママドリ、2回戦で地元期待のイアン・バートン、3回戦で世界選手権銀メダリストのスルジャン・ムルバリエビッチといった強豪を次々と撃破する快進撃を見せました。準々決勝でロシアのイワン・ニフォントフに敗れましたが、敗者復活戦を勝ち上がり、3位決定戦でアメリカのトラヴィス・スティーブンスを破り、見事銅メダルを獲得しました。このメダルは、カナダ柔道界にとって大きな喜びとなりました。

世界選手権での活躍

オリンピック後も、ヴァロア＝フォルティエは世界の舞台で活躍を続けました。2014年の世界選手権では、決勝でグルジアのアブタンディル・チリキシビリに敗れましたが、銀メダルを獲得。2015年の世界選手権では、準決勝でフランスのロイク・ピエトリに敗れましたが、銅メダルを獲得しました。

リオ五輪、そして引退へ

2016年のリオデジャネイロオリンピックでは、初戦で2014年の世界王者ロイク・ピエトリを破るも、準々決勝でロシアのハサン・ハルムルザエフに敗れました。敗者復活戦では、世界チャンピオンの永瀬貴規に敗れ、7位に終わりました。その後も、2018年からパンナム選手権を2連覇するなど、安定した強さを見せていましたが、2021年7月に日本武道館で開催された東京オリンピックでは2回戦で敗れ、同年11月に現役引退を表明しました。

指導者としての新たな道

引退後は、カナダナショナルチームのコーチに就任し、後進の育成に力を注いでいます。選手として培った経験と知識を活かし、カナダ柔道界のさらなる発展に貢献することが期待されています。

主な戦績

2010年 - ワールドカップ・マルガリータ島　3位
2010年 - ワールドカップ・サンサルバドル　3位
2010年 - ワールドカップ・アピア　3位
2011年 - パンナム選手権　3位
2011年 - グランドスラム・リオデジャネイロ　5位
2011年 - ワールドカップ・マルガリータ島　2位
2011年 - パンアメリカン競技大会　3位
2011年 - ワールドカップ・アピア　2位
2012年 - ワールドカップ・オーバーヴァルト　2位
2012年 - パンナム選手権　2位
2012年 - ロンドンオリンピック　3位
2013年 - パンナム選手権　2位
2014年 - グランドスラム・バクー　3位
2014年 - パンナム選手権　2位
2014年 - 世界選手権　2位
2014年 - グランドスラム・アブダビ　2位
2014年 - グランドスラム・東京　5位
2015年 - パンナム選手権　3位
2015年 - グランプリ・ウランバートル　優勝
2015年 - グランドスラム・チュメニ 2位
2015年 - 世界選手権 3位
2016年 - パンナム選手権　優勝
2016年 - リオデジャネイロオリンピック 7位
2017年 - グランプリ・フフホト　優勝
2017年 - アジアオープン・台北　優勝
2018年 - ヨーロッパオープン・ソフィア　2位
2018年 - パンナム選手権　優勝
2019年 - グランプリ・トビリシ　3位
2019年 - グランプリ・アンタルヤ　3位
2019年 - パンナム選手権　優勝
2019年 - グランプリ・モントリオール　2位
2019年 - グランプリ・ザグレブ　2位
2019年 - 世界選手権　3位
2020年 - グランドスラム・パリ　3位
* 2020年 - グランドスラム・ブダペスト　2位

アントワーヌ・ヴァロア＝フォルティエは、カナダ柔道界の歴史にその名を刻む偉大な柔道家です。彼の活躍は、多くの人々に感動と勇気を与え、カナダの柔道界に大きな影響を与えました。今後はコーチとして、次世代の育成に貢献していくことが期待されます。

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