テオドラ・アンゲリナ

テオドラ・アンゲリナ：激動の時代を生き抜いた皇女

テオドラ・アンゲリナ（生没年不詳）は、東ローマ帝国の皇女として生まれ、波乱に満ちた生涯を送りました。彼女は、バーベンベルク家のオーストリア公レオポルト6世の妻としても知られています。父はイサキオス・コムネノス（東ローマ帝国皇帝マヌエル1世コムネノスの甥の息子）、母は皇女アンナ・アンゲリナ（皇帝アレクシオス3世アンゲロスの娘）であり、由緒ある家柄の出身でした。

生涯

テオドラの人生は、政略結婚と権力闘争に翻弄されるものでした。1197年、彼女はワラキア＝ブルガリア帝国の第2代皇帝イヴァンコと結婚します。イヴァンコは、先帝イヴァン・アセン1世を殺害して帝位に就いた人物でした。彼は東ローマ帝国に恭順の意を示し、アレクシオスという名を与えられていましたが、1198年には反旗を翻します。これにより、テオドラの父イサキオスは、夫の属するワラキア＝ブルガリアの捕虜となり、悲劇的な死を遂げました。その後、将軍マヌエル・ヴァタツェスによってイヴァンコが捕らえられると、テオドラは彼と離婚しました。

1200年頃、テオドラはワラキア＝ブルガリアの有力者であるドブロミルの3番目の妻となります。ドブロミルは、将軍マヌエルの義理の息子でした。しかし、彼女の人生はこれで終わりませんでした。

第4回十字軍によって東ローマ帝国が崩壊する中、テオドラはオーストリア公レオポルト6世と結婚します。この結婚は、彼女の人生における新たな転換点となりました。レオポルト6世との間には、7人の子供が生まれます。

マルガレーテ（1204年 - 1266年）：ローマ王ハインリヒ（神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世の長男）と結婚後、ボヘミア王オタカル2世と再婚。
アグネス（1205年 - 1226年）：ザクセン公アルブレヒト1世妃。
レオポルト（1207年 - 1216年）。
ハインリヒ（1208年 - 1228年）：テューリンゲン方伯ヘルマン1世の娘アグネスと結婚。娘ゲルトルートは、バーデン辺境伯ヘルマン6世と結婚後、キエフ大公ダヌィーロの息子ロマンと再婚。フリードリヒ2世の死後、バーベンベルク家の女子相続人となる。
ゲルトルート（1210年 - 1241年）：テューリンゲン方伯ハインリヒ・ラスペ妃。
フリードリヒ2世（1211年 - 1246年）：オーストリア公。
コンスタンツェ（1212年 - 1243年）：マイセン辺境伯ハインリヒ3世妃。

テオドラ・アンゲリナの生涯は、まさに激動の時代を象徴するものでした。彼女は、政略結婚、戦争、帝国の崩壊といった歴史的な出来事に巻き込まれながらも、生き抜きました。彼女の子供たちは、ヨーロッパ各地の王侯貴族と結びつき、その血脈は後世にまで受け継がれています。彼女は、歴史の表舞台に立つことはありませんでしたが、その存在は、中世ヨーロッパの歴史を語る上で欠かすことのできないものとなっています。

参考文献

(参考文献の情報は省略)

関連項目

コムネノス王朝
第二次ブルガリア帝国
* バーベンベルク家

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