アヴァール人 (カフカース)

アヴァール人とは

アヴァール人は、カフカース山脈に居住する民族であり、主に北東カフカス語族に属するアヴァール語を話します。彼らの宗教はスンニ派イスラム教で、大部分はロシア連邦のダゲスタン共和国の山間部に暮らし、平野部にも小規模ながら居住しています。さらに、チェチェン共和国やカルムィク共和国をはじめ、アゼルバイジャンやグルジア、トルコなどにも彼らのコミュニティが存在しています。2002年の統計によると、アヴァール人の総人口は約104万人で、そのうち81万5千人がロシア連邦に、75万人以上がダゲスタンに居住しているとされています。

名称の由来

アヴァール人という名称は、6世紀に中央アジアから東ヨーロッパに侵入した遊牧民族アヴァールと同じであるものの、これら二つの民族が直接の関係にあるかどうかは不明です。アヴァール人についての最初の記録は、463年に東ローマ帝国の歴史家プリスクスによって残されたもので、彼は東方の民族がアヴァール人の侵入について訴えたと記述していますが、このアヴァールがカフカースの民族であったかは確証がありません。さらに、東ヨーロッパに移動したアヴァール人はテュルク系またはモンゴル系であるともされており、現代のカフカースのアヴァール人との民族系統の関連性は薄いと考えられています。

歴史の流れ

アヴァール人の祖先は、5世紀にカフカースに建国されたキリスト教国サリルに関与していたとされています。この国は12世紀初頭に消滅するまで続きました。7世紀には、イスラム帝国とハザールとの戦争においてハザール側についたものの、9世紀にはグルジアなどの近隣のキリスト教国との連携を深め、ハザールと対立しました。この時期、現在でも残っている10世紀の教会遺跡からは、彼らの歴史的背景が伺えます。

12世紀にはサリルが滅び、13世紀にはアヴァール・ハン国が成立し、北方のジョチ・ウルスと同盟を結びました。19世紀中頃まで、アヴァール・ハン国は存続していましたが、ロシア帝国の拡張政策によりコーカサス戦争が勃発。アヴァール人はロシアに対して抵抗を続け、イスラム神秘主義を背景とするナクシュバンディー教団がイマーム国を誇示しましたが、1859年にはロシア帝国に降伏しました。その後、一部のアヴァール人がトルコへ移住し、人口は減少しました。しかし彼らは依然としてダゲスタンの主要な民族としての地位を保っています。第二次世界大戦後には、山間部からカスピ海沿岸への移住が増加しました。

アヴァール人のサブグループ

アヴァール人には多くのサブグループが存在しています。以下は、その代表的な民族です：

• - アンディ諸民族（アンディ人、アフバフ人、バグバリ人など）
• - ツェズ諸民族（ツェズ人やヒヌフ人など）

これらのサブグループは、それぞれ異なる文化や慣習を持ちながらも、アヴァール人の一連の伝統を共有しています。

著名なアヴァール人

アヴァール人の中には、スポーツ界で活躍する著名な人物もいます。以下はその一部です：

• - スルタン・イブラギモフ（プロボクサー）
• - ハビブ・ヌルマゴメドフ（格闘家）
• - アブドゥルラシド・サドゥラエフ（レスリング選手）

これらの人々は、アヴァール人の誇りとアイデンティティを象徴する存在です。

関連項目

アヴァール人に関連する重要トピックとしては、チェチェン紛争やダゲスタン侵攻などがあります。これらの出来事は、彼らの歴史や文化に影響を与え続けています。

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