アーグラ城塞

アーグラ城塞

アーグラ城塞（アーグラじょうさい、英: Agra Fort）は、インドのアーグラに立地する歴史的な城塞です。この城はムガル帝国の時代に築かれ、その美しい赤砂岩の城壁から「赤い城」または「ラール・キラー」と呼ばれています。しかし、注意すべきはデリーの赤い城も同様に名付けられているため、一般に「赤い城」と言った場合、デリーを指すことが多い点です。

歴史的背景

アーグラ城塞は、1565年に皇帝アクバルによって着工され、1573年に完成しました。この城はその後、ジャハーンギールやシャー・ジャハーンの居城として利用され、ムガル帝国の歴史に重要な役割を果たしました。特にアクバルによる遷都が影響しており、アーグラはムガル帝国の中心地として栄えました。

後の世代では、アウラングゼーブが兄弟間の後継者争いに勝利し、父シャー・ジャハーンをタージ・マハルの見える城内の「ムサンマン・ブルジ」と呼ばれる特別な塔に幽閉しました。この出来事は、アーグラ城塞の歴史を彩る重要なエピソードの一つです。

外観は赤砂岩一色ですが、内部の宮殿は美しい白大理石が多用され、特にムサンマン・ブルジの内壁や床には洗練された幾何学的模様が施されています。これにより、アーグラ城塞は単なる防御施設としてだけでなく、当時の芸術や建築技術の集大成としても評価されています。

世界遺産登録

アーグラ城塞は1983年にユネスコの世界遺産に登録されました。登録の理由は、以下に示す基準を満たしていることにあります。

• - (3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠が残されていること

見どころ

アーグラ城塞は広大な面積を持ち、訪問者が楽しめる多くの遺跡があります。以下は見学可能な主要な遺跡です：

• - アマルシン門とアクバル門: 三重の南門です。
• - 一般謁見の間（Diwan-i-Am）: 公共の儀式や集会が行われた場所。
• - ジャハーンギール殿（Jahangir Mahal）: 優れた建築美を持つ宮殿。
• - ムサンマン・ブルジ（Musamman Burj）: 8角柱形の立派な塔。
• - 寝殿（Khas Mahal）: プライベートな空間として使用されました。
• - 貴賓謁見の間（Diwan-i-Khas）: 高位のゲストが迎えられた場所。
• - アングリ庭園（Anguri Bagh）: 美しい庭園です。

ただし、見学不可の遺跡もあり、その大部分は軍によって管理されているためアクセスが制限されています。例としては、真珠モスク（Moti Masjid）やバザール街（Zenana Mina Bazaar）、デリー門、象門などがあります。

アーグラ城塞はその壮大な構造と歴史的意義から、多くの観光客を魅了し続けており、訪れる人々に深い感動を与えています。

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