アーターナーティヤ経

アーターナーティヤ経について

『アーターナーティヤ経』（パーリ語: Āṭānāṭiya-sutta、漢字表記: 阿吒曩胝経）は、パーリ仏典経蔵の長部経典の第32経です。この経典は、釈迦と毘沙門天の対話を中心に展開され、特に「アーターナータの護経」と呼ばれる内容が主題となっています。この護経は、主に五戒を守る重要性を伝えるもので、日本でも広く知られています、同様の教典として『毘沙門天王経』も存在します。

構成と登場人物

この経典の構成は、釈迦と毘沙門天、さらに夜叉といったキャラクターが重要な役割を果たします。話は、マガダ国のラージャグリハ（王舎城）の近くにあるギッジャクータ山（霊鷲山）を舞台に繰り広げられます。ここで、毘沙門天が登場し、釈迦との対話が始まります。彼は、特定の夜叉たちの中に五戒を守らない者がいると訴え、その対応を釈迦に求めます。

事の発端

毘沙門天による請いを受け、釈迦は彼の求めに応じます。毘沙門天は過去の七仏や四天王、さらにはスメール山と周囲の四洲からなる「アーターナーターの護経」を披露します。この護経は古代仏教における戒律の重要性と、護りを必要とする存在への教えを強調しています。

比丘たちへの教え

経典の結末では、釈迦がその護経を比丘たちに伝えます。比丘たちはこの教えに感動し、歓喜の声を上げます。ここで強調されるのは、仏教の根本的な教えである五戒の重要性であり、信者がそれを守ることによって精神的に成長し、安定した生活を送ることができるというメッセージです。

異なる訳本

『アーターナーティヤ経』は日本語でもいくつかの訳本が存在しています。例えば、『南伝大蔵経・経蔵・長部経典3』の第8巻や、『パーリ仏典 長部（ディーガニカーヤ） パーティカ篇I』、そして『原始仏典 長部経典3』があります。これらの訳本では、経典の内容を分かりやすく伝えることに重点が置かれており、仏教徒や研究者にとって貴重な資料となっています。

参考事項

この経典に関連する重要な要素として、毘沙門天、夜叉、五戒、過去七仏、四天王、スメール山（須弥山）などが挙げられます。これらの要素は、仏教の教義を理解する上での鍵となるものであり、信者としての生活や日常の中での戒律を守ることの大切さを示しています。

以上のように、『アーターナーティヤ経』は、釈迦の教えを通じて仏教徒に対する重要なメッセージを伝える作品であり、仏教の教えの中でも特に戒律の意義を強調する特徴を持っています。

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