イェス・エブゲン

イェス・エブゲンについての考察

イェス・エブゲン（モンゴル語: Yes ebügen、中国語: 也速也不干）は、モンゴル帝国の皇族であり、オゴデイの息子・コデンの子孫とされています。彼の名前は『元史』などの歴史書に記録されており、その生没年は不明です。

出自

イェス・エブゲンについての資料によれば、彼はコデン家のクルク（曲列魯）の子供であり、ベク・テムル（別帖木児）の息子として知られています。ただし、クルクについては解釈が難しく、彼をコデンの息子として見なす資料もあれば、彼をコデンの孫とする資料も存在します。このような解釈の差異は、さまざまな史料の多様性に起因しています。

クルクについての詳細な記録は乏しいですが、彼が1303年に鈔幣を与えられたことが唯一の確認できる出来事です。また、彼の子供ベク・テムルについては、1320年に「汾陽王」としての任命が記録されていますが、その他の情報は限られています。

興味深いことに、『元史』の宗室世系表には、イェス・エブゲンがトルイ家のソゲドゥの家系に関連する人物として記載されています。この記載は、歴史的な混乱により誤解が生じた結果と考えられています。

生涯

史料によると、イェス・エブゲンが公に記録されているのは1317年からで、この年の3月には糧食を与えられた記録があります。1324年、イェスン・テムルがカアンとなると、彼は荊王に封ぜられ金印を授与されました。1327年には、彼の領地がコンギラト部の岐王から侵略を受け、朝廷を介して領地を返還させられたことも記載されています。

1328年、イェスン・テムルの死後、カアン位を巡る内乱が勃発。イェス・エブゲンは大都派に加入し、襄陽一帯の制圧に成功しました。その後、上都派の降伏を受け入れた結果、内乱は大都派の勝利によって終わりを迎えます。イェス・エブゲンは新たに即位したジャヤガトゥ・カアンの下で、息子のトク・テムルとともに地位を維持しました。

至順2年には、雲南の反乱軍の鎮圧のために雲南に駐屯することになり、その後ジャヤガトゥ・カアンが死去すると、ウカアト・カアンが即位した際に、イェス・エブゲンも世を去ります。彼の死後、息子のトク・テムルが後を継ぎました。

コデン王家

イェス・エブゲンは、オゴデイ・カアンの血筋を引くコデン王家の一員です。コデン王家には多くの重要な人物が存在しており、その中にはイェス・ブカ大王やモンゲトゥ大王、ジビク・テムル王などが名を連ねています。いずれもモンゴル帝国の発展に寄与した人物です。

イェス・エブゲンは彼自身の栄光だけでなく、家系の名声をも守り続けた重要な皇族でした。彼に関する記録は多く存在せず、歴史の中での彼の役割や影響力はまだ十分には解明されていない部分も多いですが、彼の生涯はモンゴル帝国の歴史を理解する上で欠かせない要素の一つであることは間違いありません。

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