イギリス海軍の等級制度

イギリス海軍の等級制度

イギリス海軍の等級制度は、艦艇を搭載している砲の数によって分類する手法であり、17世紀半ばから19世紀にかけて使用されていました。この制度は、艦艇の戦力や経費、運用方法に影響を与える重要なものでした。本稿では、この制度の歴史と特徴、さらにはその後の影響について詳述していきます。

等級制度の起源

等級制度の源流を遡ると、15世紀や16世紀前半にまで至ります。この時期には、メアリー・ローズやアンリ・グラサデューなど、巨大なキャラックが「グレート・シップス」と呼ばれ、船体のサイズで分類されることが一般的でした。しかしながら、これは砲の数や排水量とは無関係でした。16世紀後半にはガレオン船が主流となり、その後「グレート・シップス」の呼称は海軍の最大の艦艇を指すように変わりました。

スチュアート朝初期、特に1604年には、海軍の艦艇を必要な乗員数に基づいて「ロイアル・シップス」「グレート・シップス」「ミドリング・シップス」「スモール・シップス」の4つに分ける分類表が作成されました。これが後の等級制度の基盤となりました。

等級の分類と改定

チャールズ1世の治世初期において、これらの艦艇は「ファースト・ランク」「セカンド・ランク」などの数値によって再構成されました。17世紀半ばには、これらのランクが「レート」という概念に置き換えられ、制度は一層整備されました。1677年には海軍本部長のサミュエル・ピープスによって改訂され、「重要かつ普遍的な」分類法となり、艦の等級が軍事的および行政的な効用を持つことが確認されました。

この改訂により、搭載する砲の数と口径が人員数や補給の経費に直結し、艦が戦列に参加する際の指標ともなりました。ピープスの分類は数度にわたって改定され、特に1817年にはカロネードの門数を計算に含むことが明記されました。

戦列艦とその運用

等級制度では、1等から3等の艦艇が戦列艦として扱われました。特に1および2等艦は3層甲板に多数の大砲を搭載し、加えて小口径砲を持っていました。3等艦も最大80門艦は1690年代から1750年代にかけて3層艦として建造されましたが、それ以外の3等艦は常に2層でした。

また、4等艦は砲の数によって戦列艦としての地位が変わることがあり、1756年以降は50門の艦は戦列艦から外されました。砲の数は時代とともに増加する傾向にあり、例えば、1等艦は初めは90-100門とされていたのが1801年には100-120門にまで増加しました。

スループとフリゲート

3本マストの帆船が「シップ」として知られ、マストの数が2本以下である艦艇はしばしばスループとして分類されました。特にスループには「シップ・スループ」と呼ばれるものもあり、さまざまな形式があります。また、艦艇は指揮官の階級によっても分類され、海尉が指揮する小型船舶であってもスループと見なされることがあります。

このように、イギリス海軍の等級制度は独自のものでしたが、他の国々でも類似の制度が存在し、フランス海軍なども同様の分類を行っていました。しかし、18世紀末頃にはこの制度は一般的でなくなり、砲の数に基づく呼称が普及することとなりました。

ナポレオン戦争と制度の変化

ナポレオン戦争期には、等級制度が変更され、特に1817年にはカロネードが正式に計算に含まれることになりました。これにより、従来の数値計算方式から新たな分類方法へと転換されました。

等級制度は、状況に応じて柔軟に変化しながらも、イギリス海軍の運用において重要な役割を果たしました。艦艇の性能や用途に基づくこのシステムは、現代海軍においてもその影響を残しています。

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