イジューム

イジュームの概要

イジューム（ウクライナ語: Ізюм）は、ウクライナの東部に位置するハルキウ州の都市であり、ドネツ川両岸に広がり、ハルキウ市からは約138キロ南東に位置しています。その戦略的な地理的位置から、イジュームはドンバス地域の重要な玄関口として知られています。2021年のデータによると、イジュームの人口はおよそ45,884人です。

歴史的背景

イジュームの地域には、石器時代の考古学的遺跡が存在しており、この地に人々が住み始めたのは非常に古い時代にさかのぼります。最初にこの街に関する記録が残されているのは1571年で、イジュームという名前は、地域を流れるイジュメツ川に由来していると言われています。この川に架かる浅瀬は、古くから重要な交通路であり、モスクワとクリミアを結ぶ主要な交差点でもありました。

1670年代には、コサック連隊の拠点として機能し、その後、1681年には要塞が築かれました。1684年には救世主顕栄聖堂が建設され、本格的な都市としての発展が始まりました。1765年に市の地位が付与され、1780年にはハリコフ県の行政中心地となることが決定されました。

第二次世界大戦中の1942年、イジュームはドイツ軍に占領され、独ソ戦の激戦地となりました。1943年2月5日に赤軍によって解放されるまで、街は大きな被害を受けました。

ロシアのウクライナ侵攻

2022年のロシアによるウクライナ侵攻では、イジュームが再び戦争の舞台となりました。親露派がこの街を制圧することで、マリウポリへと軍を進めるための拠点にすることを狙っていました。親露派にとってイジュームは、ハリコフ州とマリウポリを結ぶ戦略的な要所であったため、激しい戦闘が繰り広げられました。報道によると、イジュームは大きな破壊を受け、戦闘の結果、多くの住民が困難な状況に置かれました。

2022年3月にはアメリカ国防総省の関係者がイジュームがロシア軍に制圧されたと述べた一方、ウクライナ軍は同月22日に巻き返し作戦を開始しました。2022年9月10日、ウクライナ軍は市街地を奪還し、14日にはゼレンスキー大統領の出席のもとで市庁舎に国旗が掲げられる式典が行われました。

経済活動と交通

イジュームには機械工業、光学産業、家具製造業が発展しており、地域経済の中心となっています。また、交通の要所でもあり、ハルキウからホルリウカを経由し、ロストフ・ナ・ドヌへ至る鉄道幹線が通っています。

気候の特徴

イジュームは、年間を通じて比較的低温で、多雨の温帯気候に属します。ケッペンの気候区分によれば、冷帯に属する湿潤大陸性気候（Dfa）とされています。この気候は、農業や居住環境に大きく影響を与える要因のひとつです。

まとめ

イジュームは長い歴史を有する都市であり、戦略的な重要性を持つ街として、過去に数々の歴史的な出来事が起こっています。現在もその影響が残る中、地域の復興が期待されています。

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