イタカ (小惑星)

小惑星イタカ（1151 Ithaka）の詳細

イタカは、小惑星帯の内縁部に位置する、特徴的な炭素質の小惑星です。この小惑星は、1929年にドイツの天文学者カール・ラインムートによって発見され、その名はギリシャのイオニア諸島に浮かぶイタキ島に由来しています。イタキ島は、古代ギリシャの英雄オデュッセウスの故郷としても知られています。

発見の経緯

イタカは、1929年9月8日にハイデルベルク天文台でカール・ラインムートによって発見されました。そのわずか5日後、クリミア半島のシメイズ天文台でグリゴリー・ネウイミンも独立してこの小惑星を発見しました。しかし、公式には最初の発見者であるラインムートのみが、小惑星センターによって発見者として認定されました。この発見によって観測弧が始まり、イタカの軌道が特定されました。

軌道と分類

イタカは、小惑星族に属さない非族小惑星に分類されます。太陽から1.7から3.1天文単位の範囲を公転し、約3年9ヶ月（1364日）で太陽の周りを一周します。その軌道離心率は0.28であり、黄道面に対して約7°の軌道傾斜角を持っています。これらの軌道特性は、イタカが小惑星帯の内側領域に位置していることを示しています。

物理的特徴

イタカは、小惑星帯の内側では珍しい炭素質C型小惑星に分類されています。これは、イタカの表面が炭素を多く含んでいることを示唆しています。炭素質小惑星は、太陽系の初期の物質を保持していると考えられており、その研究は太陽系の形成過程を理解する上で非常に重要です。

自転周期

2011年には、測光観測によってイタカの光度曲線が詳細に分析されました。その結果、イタカの自転周期は4.93115から4.932時間であり、自転に伴う等級変動は0.12から0.15等級であることが判明しました。この精密な自転周期の測定は、イタカの物理的な特性をさらに深く理解する上で役立ちます。

直径とアルベド

アメリカ航空宇宙局の広視野赤外線探査機（NEOWISE）の観測データによると、イタカの直径は8.97kmから20.46kmの範囲に及ぶとされています。また、表面のアルベド（反射率）は0.02から0.13の間で変動することが示されました。一方、イタリアとアメリカの研究者による共同研究では、イタカの直径は約14±3kmと推定されています。Collaborative Asteroid Lightcurve Linkでは、炭素質小惑星の標準アルベドを0.057とし、絶対等級12.94に基づいて、イタカの直径を14.37kmと導き出しています。これらの測定値は、イタカが中規模の小惑星であることを示唆しています。

命名の由来

イタカは、ギリシャ神話に登場する英雄オデュッセウスの故郷として知られるイタキ島にちなんで命名されました。公式な命名に関する記述は、1955年にポール・ハーゲットが出版した「The Names of the Minor Planets」に記載されています。この命名は、小惑星と古代ギリシャの文化との興味深い繋がりを示しています。

まとめ

イタカは、その独特の軌道、炭素質の組成、そして歴史的な命名背景から、小惑星研究において重要な対象となっています。継続的な観測と分析を通じて、イタカのような小惑星が、太陽系の初期の状態や進化を解明するための鍵となることが期待されます。

参考資料

Asteroid Lightcurve Database (LCDB), query form (info Archived 16 December 2017 at the Wayback Machine.)
Dictionary of Minor Planet Names, Google books
Asteroids and comets rotation curves, CdR – Observatoire de Genève, Raoul Behrend
Discovery Circumstances: Numbered Minor Planets (1)-(5000) – Minor Planet Center

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