イッツ・オンリー・ロックン・ロール (曲)

イッツ・オンリー・ロックン・ロール：ローリング・ストーンズの不朽の名曲

ローリング・ストーンズの楽曲「イッツ・オンリー・ロックン・ロール (It's Only Rock'n'Roll (But I Like It))」は、1974年発表のアルバム『イッツ・オンリー・ロックン・ロール』からの先行シングルとして、世界中に衝撃を与えた名曲です。ミック・ジャガーとキース・リチャーズによって作詞作曲されたこの曲は、その誕生秘話から商業的な成功、そして現在に至るまでのロングヒットの歴史まで、多くの魅力的な要素を含んでいます。

意外な誕生秘話：ロン・ウッドとのコラボレーション

この曲は、当時フェイセズのギタリストだったロン・ウッドのソロアルバム制作がきっかけで生まれました。ウッドの自宅スタジオで、ジャガーとウッドは共同で楽曲制作を行い、「イッツ・オンリー・ロックン・ロール」を含む2曲を完成させました。セッションには、ケニー・ジョーンズ（ドラム）、ウィリー・ウィークス（ベース）、そしてデヴィッド・ボウイ（バックボーカル）といった豪華なメンバーが参加しています。ストーンズのメンバーであるキース・リチャーズやミック・テイラーも参加しており、まさに豪華なコラボレーションと言えるでしょう。

楽曲の原型はウッドが作ったと言われており、クレジットには「Inspiration by Ronnie Wood」という注釈が付けられることもあります。有名なフレーズ「たかがロックンロール、でもそれが大好きなんだ」は、ジャガーとジョーンズの間で起こったちょっとした口論から生まれたというエピソードも残っています。

ミュンヘンにあるミュージックランド・スタジオでストーンズとしてのレコーディングが行われ、そこでイアン・スチュワートのピアノパートが追加されるなど、楽曲はさらに洗練されていきました。歌詞にはデヴィッド・ボウイの楽曲からの影響も指摘されています。

シングルリリースとプロモーションビデオ

シングル盤のジャケットには、胸にペンを突き刺したジャガーのイラストが描かれています。ジャガー自身はこれを「気楽なアンチ・ジャーナリズム」と表現しています。

また、マイケル・リンゼイ＝ホッグ監督によるプロモーションビデオも制作されました。水兵の衣装を身につけたメンバーが船内を模したセットで演奏する様子が中心となっており、後半にはシャボン玉が充満していく演出も見どころです。チャーリー・ワッツがシャボン玉に翻弄される様子も映っており、ユーモラスな仕上がりになっています。このビデオは現在もYouTubeのストーンズ公式チャンネルで視聴可能です。

1974年7月26日に英米同時リリースされたこのシングルは、イギリスでは10位、アメリカでは16位という結果に終わりました。アメリカでのトップ10入りを逃したのは1968年の「ストリート・ファイティング・マン」以来で、一部ではストーンズの商業的スランプの始まりと見なされました。しかし、この曲は長年に渡ってコンサートで演奏され続け、多くのベストアルバムにも収録されるなど、ストーンズの代表曲として高い評価を得ています。

シングルのB面には、アルバム『イッツ・オンリー・ロックン・ロール』には収録されていない「スルー・ザ・ロンリー・ナイト」が収録されています。ジミー・ペイジが参加したという説もあるこの曲は、レア・トラックとして長く親しまれ、2005年のコンピレーションアルバム『レアリティーズ 1971-2003』で初めて公式アルバムに収録されました。

コンサートパフォーマンスとライブアルバム

1975年の全米ツアーから2016年のツアーまで、1980年代前半を除くほぼ全てのツアーで演奏され続けています。しかしながら、公式ライブアルバムへの収録は『ラヴ・ユー・ライヴ』と『ライヴ・リックス』の2作品のみです。ライブテイクのアレンジはスタジオバージョンとは大きく異なるのが特徴です。

参加ミュージシャン

ミック・ジャガー：リード＆バッキングボーカル
キース・リチャーズ：エレキギター、バッキングボーカル
イアン・スチュワート：ピアノ
ロン・ウッド：12弦アコースティックギター、バッキングボーカル
ウィリー・ウィークス：ベース
ケニー・ジョーンズ：ドラムス

「イッツ・オンリー・ロックン・ロール」は、その制作過程から商業的成功、そして現在に至るまで、多くの興味深いエピソードを持つ、ローリング・ストーンズを代表する楽曲です。これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

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