イニュエンドウ (曲)

イニュエンドウ (Innuendo)

クイーンの楽曲「イニュエンドウ」は、1991年にリリースされた同名アルバムの1曲目を飾る楽曲です。タイトルは英語で「当て擦り」や「風刺」を意味し、その言葉通り、楽曲は複雑で多層的な構成を持っています。

この曲は、クイーンのメンバー全員で作詞・作曲・編曲を手掛けました。プロデュースはクイーンとデヴィッド・リチャーズが担当し、ギタリストのスティーヴ・ハウがフラメンコギターでゲスト参加しています。

楽曲は、ラヴェルのボレロを彷彿とさせるリズムと音階で幕を開け、アコースティックギターのソロを経て、静かな中間部へと移行します。その後、5拍子のフラメンコギターが印象的な展開部、合唱、フラメンコ風ソロ、変拍子などが次々と現れ、再び冒頭のボレロ風のメロディーに戻るという、非常に凝った構成となっています。音楽雑誌『CDジャーナル』は、この曲を「初期の作品群を彷彿とさせるクラシック風なコンセプトが魅力」「フラメンコ・タッチが異色」と評しました。

演奏時間は6分30秒と、クイーンのシングルとしては2番目に長い曲です。シングルカットされると、イギリスのチャートで初登場1位を獲得し、オランダやドイツのチャートでも上位にランクインするなど、ヨーロッパを中心に大ヒットしました。

プロモーションビデオは、ヒバート・ラルフとドロ・プロダクションによって制作されました。アルバムのジャケットに使用されたJ・J・グランヴィルのイラストによるアニメーションから始まり、クレイアニメ、実写映像などが組み合わされた、非常に芸術的な作品となっています。メンバーは過去の映像を編集したものが使用されており、フレディはダ・ビンチ、ロジャーはポロック、ジョンはピカソ、ブライアンはビクトリア・エッチング風に描かれています。このビデオは、現在日本で発売されているプロモーションビデオ集DVDには収録されていません。

シングルには、カップリングとして「ビジュウ」が収録されており、12インチシングルや日本盤には、「イニュエンドウ (イクスプローシヴ・ヴァージョン)」や「アンダー・プレッシャー (with デヴィッド・ボウイ)」が収録されています。

この曲の演奏には、フレディ・マーキュリーがリードボーカルとキーボード、ブライアン・メイがエレクトリックギターとクラシックギター、ジョン・ディーコンがベースギター、ロジャー・テイラーがドラムスとパーカッションを担当しています。また、スティーヴ・ハウがクラシックギターとスパニッシュギターソロを、デヴィッド・リチャーズがキーボードを担当しました。

クイーンの正規メンバーによるライブ演奏はありませんが、1992年のフレディ・マーキュリー追悼コンサートでは、ロバート・プラントをボーカルに迎えて演奏されました。ただし、このライブ映像はDVD版ではカットされています。

「イニュエンドウ」は、クイーンの音楽的な多様性と創造性が凝縮された、非常に重要な作品と言えるでしょう。

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