イワタイゲキ

イワタイゲキ（岩大戟）

イワタイゲキ（学名: Euphorbia jolkinii）は、トウダイグサ科トウダイグサ属に属する多年生の海浜植物です。岩場に自生すること、そして中国原産のタカトウダイ（別名: 大戟）に似ていることが和名の由来となっています。

特徴

イワタイゲキは全体的に無毛で、群生する性質を持ちます。地下茎が非常に発達しており、岩の隙間などに深く根を張ります。茎は太く肉厚で、傷つけると白い乳液を出します。この乳液には皮膚をかぶれさせる成分が含まれているため、注意が必要です。茎は直立し、高さは通常30〜50cm程度ですが、島嶼部ではより大型化することがあります。

葉は茎に沿って密に互生し、長さは4〜7cm、幅は6〜15mm程度で、長楕円形から倒披針形をしています。葉の先端は丸みを帯びており、縁には鋸歯は見られません。新芽は淡い黄色をしています。茎の先端には多数の葉が輪生状につき、葉腋からは放射状に短い枝が多数伸び、その先に杯状花序をつけます。花序は三又分枝を繰り返し、さらに二又分枝へと続きます。花序の下につく卵形の苞葉は黄色をしており、総苞葉は腎形です。子房の表面には乳頭状の突起が密生しており、これは蒴果になっても残ります。蒴果は熟すと直径5mm以上になります。花期は4月から6月です。晩秋には、若い茎の上に新たな茎が現れ、紅葉して冬を越します。

毒性

イワタイゲキは、吐噶喇列島の平島で魚毒植物として利用されていた歴史があります。

抗菌性

根には没食子酸メチルという成分が含まれており、大腸菌、クローバー根粒菌、腸炎ビブリオ、エンドウマメ根粒菌などに対して強い抗菌作用を示すことがわかっています。

分布と生育環境

イワタイゲキは、台湾、朝鮮半島南部、そして日本に分布しています。日本では、本州（関東地方南部以西、伊豆以西）、四国、九州、沖縄で見られ、北限は石川県です。海流によって種子が運ばれる海流散布植物と考えられており、暖地の海岸の岩石地を好んで生育します。

保全状況

環境省による国レベルでのレッドリスト指定は受けていませんが、地域によっては絶滅の危機に瀕しており、以下の都道府県でレッドリストに指定されています。

絶滅危惧IA類(CR): 神奈川県、石川県
重要保護生物（B): 千葉県
Bランク: 兵庫県
絶滅危惧II類(VU): 愛知県、香川県
* 準絶滅危惧(NT): 三重県、島根県、岡山県、広島県、徳島県、大分県

また、瀬戸内海国立公園、大山隠岐国立公園では指定植物の一つに選定されています。

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