イングランドの単一自治体

イングランドの単一自治体制度

イングランドにおける単一自治体（Unitary Authority）とは、一つの地区（ディストリクト）内において全ての地方自治サービスを提供する責任を負う地方自治体の形態です。1992年の地方自治法に基づき設置され、複数の地区を管轄しないカウンティを単一自治体とすることで、大規模な都市と周辺地域を効率的に運営し、小規模なカウンティにも単独の行政権限を与えることを可能にしています。

歴史

背景

「単一自治体」という用語は、1969年のレッドクリフ＝モード報告書で初めて使用され、カウンティ議会とディストリクト議会の機能を統合した地方自治体を指すようになりました。ただし、下位組織としてパリッシュ議会が存在するケースもあるため、必ずしも単一の地方自治体しか存在しないとは限りません。

1889年から1974年にかけて存在したカウンティ・バラは、単一自治体とは呼ばれませんでしたが、事実上、単一行政主体として機能していました。それ以前は、地方自治体はそれぞれ異なる権限を持っていましたが、中世以来、いくつかの都市はカウンティ・コーポレートとして高度な自治権を有していました。

1972年の地方自治法では、大規模都市とその周辺地域を一体的に運営する地方自治体が創設されましたが、その後はカウンティ議会とディストリクト議会の二層構造が一般的となりました。1986年には、6つの都市カウンティとグレーター・ロンドンで、広義の単一自治体制度が導入され、上層自治体が廃止されました。

1990年代の改革

1990年代の見直しでは、新たな単一自治体を創設できる地域を選定し、行政構造の変更が行われました。具体的には、ブリストル、ヘレフォードシャー、ワイト島、ラトランドが単一自治体となり、バークシャーのディストリクト議会も単一自治体となりました。エイヴォン、ハンバーサイド、クリーヴランドの3州は解体され、複数の単一自治体が誕生しました。多くのディストリクトがカウンティから分離され、典礼カウンティと行政上のカウンティの定義が異なるようになりました。この改革により、46の単一自治体が創設されました。

2009年の変更

2007年から始まった見直しでは、コーンウォールとノーサンバーランドが単一自治体となり、ダラム、シュロップシャー、ウィルトシャーの一部も単一自治体となりました。ベッドフォードシャーとチェシャーの一部も分割され、さらに9つの単一自治体が創設されました。

今後の改革

オックスフォードシャーやドーセットでは、単一自治体への移行が検討されています。また、バッキンガムシャーは2020年に単一自治体となり、ノーサンプトンシャーも2021年に2つの単一自治体に再編されました。さらにカンブリア、ノース・ヨークシャー、サマセットの非都市カウンティも2023年に単一自治体となりました。これらの改革は、地方自治体の効率性向上と地域ニーズへの対応を目的としています。

機能

単一自治体は、通常、非都市カウンティ議会と非都市ディストリクト議会が別々に担っていた権限と機能を統合して行使します。これには、住宅供給、廃棄物処理、住民税徴収、教育、図書館、社会サービス、交通、都市計画、消費者保護、許認可、霊園、火葬場などが含まれます。

選挙区

多くの単一自治体は、ディストリクト議会選挙と同様に、複数の大選挙区に分割されています。ただし、コーンウォール、ダラム、ワイト島、ノーサンバーランド、シュロップシャー、ウィルトシャーなど、カウンティ議会選挙区と同様の分割を採用している自治体もあります。

現在の単一自治体一覧

多くの単一自治体は、非都市カウンティと非都市ディストリクトが重なり合ったものとして定義され、単一の議会により運営されています。カウンティ議会がディストリクトの権限を持つ場合と、ディストリクト議会がカウンティの権限を持つ場合がありますが、実質的な違いはありません。ディストリクトはバラやシティの地位を持つこともありますが、権限や機能には影響しません。

類似する行政機構

シリー諸島議会は、1890年創設の独特な一層自治体ですが、1992年地方自治法に基づくものではないため、単一自治体とは異なります。都市バラ議会も、地域内で唯一の選出された自治体ですが、合同委員会と戦略的機能を共有しています。シティ・オブ・ロンドン・コーポレーションやロンドン自治区議会も高度な自治権を有しますが、ロンドン市長やロンドン議会と機能を共有しています。

合同行政機構

合同行政機構は、単一自治体とは異なるイングランドの地方自治体の形態です。

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