インターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ

インターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ（IRC）

インターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ（IRC）は、2006年から2012年の間に開催された国際ラリー選手権シリーズです。この大会は、ヨーロッパのスポーツ専門放送局ユーロスポーツによって主催され、運営されていました。当初は世界ラリー選手権（WRC）に匹敵する人気を集めていましたが、2013年以降はヨーロッパラリー選手権（ERC）に統合される形で、2012年シーズンをもって終了しました。

背景とスタート

IRCの設立は、WRCの参加費用が年々高騰する中で、より低コストで国際的に競技が行えるラリーシリーズを求める声から生まれました。発起人であるFIA副会長のマルコ・ピッチニーニと元ラリードライバーのジョナサン・アシュマンは、1970年代のWRCのように競技者が多様なマシンで参加できる場を提供したいと考えました。2006年には『インターナショナル・ラリー・チャレンジ』として試験的に開催され、2007年から正式なシリーズとしてスタートしました。

車両規定と特徴

IRCでは、市販車に近い外観を持ち、プライベーターにも参加しやすくなるような車両規定が設けられました。主に2,000ccまでのグループA（スーパー2000）やグループN、R規定の車両が使用され、各国の独自規定車両もポイント対象に含まれました。また、ユーロスポーツが主催することにより、テレビやインターネットを通じたメディア露出も豊富でした。これにより、各メーカーの参戦が促進されました。

参加者とランキング

IRCには若手やアマチュアドライバーが多く参加し、その中には現役のWRCやPWRCドライバーも含まれていました。ランキングは有効ポイント制で、2011年まではベスト7戦、2012年にはベスト8戦の合計得点で競われました。総合ランキングの他にも、2WD車両対象の2WDカップや、スーパー2000以外の市販車が対象のプロダクションカップもありました。総じて日本人の参加も見られ、2011年には新井敏弘選手（スバル）がプロダクションカップを制覇しました。

開催スケジュールと地域

IRCは、WRCのように単独開催されるのではなく、ヨーロッパを中心に人気があるラリーイベントを選定し、選手権として成立していました。このため、WRCのスケジュールと異なり、モンテカルロやサファリラリー、ツール・ド・コルス、ラリー・サンレモなどの伝統あるイベントも盛り込まれました。

だが、ヨーロッパ偏重の傾向があり、海外での人気は限られていました。参加チームの多くは、マーケティング目的のディーラー系や卸売業者系が中心で、資金的な制約からフル参戦できる範囲での参加に留まることが多かったのです。

統合と変化

時を経て、FIAはWRCとの競合を避けるための統合を模索し、2007年ごろからIRCとWRCの統合案が浮上しました。最終的に2012年、IRCはERCと統合されることとなり、その後のWRCやERCにおいても車両規定やカテゴリ構成の見直しが行われました。

歴代チャンピオンと開催イベント

IRCの開催イベントには、ラリー・モンテカルロやサファリラリーなどの著名なラリーが含まれました。歴代のチャンピオンや参戦メーカーは多彩であり、アバルト、プジョー、スバルなどがその名を刻みました。また、タイヤメーカーの存在も重要で、シュコダやアバルトはBFグッドリッチを使用し、多くのプライベーターがピレリを選んでいました。

このように、インターコンチネンタル・ラリー・チャレンジは、特に欧州のモータースポーツシーンにおいて一時的にとはいえ、重要な役割を果たしたシリーズでした。

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