パディントン駅

ロンドン・パディントン駅：歴史と文化が交差する交通の要衝

ロンドン西部の心臓部、パディントン地区に位置するパディントン駅は、イギリスを代表する鉄道駅の一つです。ナショナル・レールとロンドン地下鉄が接続する重要な交通拠点として、国内外から多くの人々が行き交います。1854年に開業したこの駅舎は、偉大なエンジニア、イザムバード・キングダム・ブルネルによって設計されました。駅コンコースに立つブルネルの像は、その功績を後世に伝えています。ブルネルの同僚、マシュー・ディグビー・ワイアットも駅舎の細部の設計に携わったとされています。

壮大な駅舎

パディントン駅の象徴とも言えるのは、錬鉄の柱で支えられた3連の壮大なガラス屋根です。それぞれの屋根は、幅20.7m、31.2m、21.3m、そして長さ213mという巨大なスケールを誇ります。1906年から1915年にかけて行われた拡張工事では、さらに幅33mの四つ目のガラス屋根が追加され、現在の姿が完成しました。

多様な路線網

パディントン駅は、多様な路線が乗り入れるターミナル駅です。

ナショナル・レール: ブリストル、バース、ウェールズ南部、コーンウォールといった地方都市への長距離列車や、オックスフォード、ロンドン西部近郊への列車が発着します。グレート・ウェスタン・レールウェイの主要ターミナル駅であり、ヒースロー空港への直通路線であるヒースロー・エクスプレスもここから運行されています。2005年には、ヒースロー・コネクトも運行を開始し、さらに利便性が向上しました。また、チルターン・レイルウェイズの一部列車も乗り入れています。プラットフォームの先端部は急カーブしているため、発車時には車輪が軋む音が聞こえます。

ロンドン地下鉄: ハマースミス&シティ線、ディストリクト線、サークル線、そしてベーカールー線の4路線が乗り入れています。ハマースミス&シティ線のプラットフォームは、他の地下鉄路線のプラットフォームとは離れたナショナルレールの北側に位置しています。

文学作品との繋がり

パディントン駅は、多くの文学作品にも登場し、その名を知らしめています。

くまのパディントン: マイケル・ボンドの児童文学作品『くまのパディントン』で、主人公のパディントンが発見された場所として有名です。現在、駅構内にはパディントンの銅像が設置され、多くの観光客を魅了しています。

機関車ダック: 『きかんしゃトーマス』の原作『汽車のえほん』に登場する機関車ダックは、かつてパディントン駅で働いていたという設定になっています。このエピソードは映像化されていませんが、TVシリーズでは、昔のパディントン駅で働くダックの写真が登場するエピソードがあります。

* アガサ・クリスティー作品: アガサ・クリスティーのエルキュール・ポワロシリーズ『プリマス行き急行列車』やミス・マープルシリーズ『パディントン発4時50分』では、パディントン駅発の列車が物語の重要な舞台となっています。

周辺環境

パディントン駅周辺には、多くのバス路線が乗り入れており、市内各地へのアクセスも容易です。ロンドンバスの7、23、27、36、46、205、332、436系統と深夜バスのN7、N205系統が駅と接続しています。

隣の駅

パディントン駅から、グレート・ウェスタン・レールウェイ、ヒースロー・エクスプレス、ヒースロー・コネクト、チルターン・レイルウェイズ、そしてロンドン地下鉄各線を利用して、様々な方向へアクセスできます。具体的な路線と隣の駅については、駅案内図や時刻表をご確認ください。

パディントン駅は、単なる交通拠点としてだけでなく、歴史的建造物、文学作品との繋がり、そして活気あふれるロンドンの雰囲気を感じられる場所です。ロンドンを訪れる際には、ぜひ一度足を運んでみてください。

もう一度検索