インディアン斥候隊

インディアン斥候隊：知られざるネイティブアメリカンの貢献

インディアン斥候隊とは、アメリカ陸軍に所属した、ネイティブアメリカン（インディアン）で構成された斥候部隊のことです。多種多様な民族で構成されるインディアン社会は、ヨーロッパ人到来以前から、部族間で同盟や敵対関係を繰り返していました。この状況を利用し、白人たちは敵対する部族を雇い入れ、軍事作戦に協力させたのです。

歴史

1636年のピクォート戦争では、イギリス人入植者が、敵対するモヒガン族やナラガンセット族と同盟を結びました。アメリカ陸軍がインディアン部隊を正式に編成したのは1866年7月28日。議会で可決された法令により、最大1000人のインディアンを斥候として雇用することが認められました。彼らは騎兵兵士と同等の給与と手当を受け取り、司令官の裁量で雇用・解雇されました。この法令以前にもインディアンが雇用されることはありましたが、それは臨時的なもので、兵士としての地位は与えられていませんでした。

服装と装備

正式に軍に雇用されたインディアン斥候は、余剰の古い制服を与えられました。制服の規制は緩く、伝統衣装を身につける者もいたようです。1870年には、ある将校がアパッチ斥候の服装を「ほぼ裸で、モスリンの布とモカシン、鷹の羽の帽子だけ」と記録しています。しかし、1902年には新しい規則が導入され、インディアン斥候は規定の制服を着用することになりました。

斥候としての能力

インディアン斥候隊は、白人兵士が見落とすようなわずかな痕跡からも、馬の蹄跡を発見しました。また、馬糞の水分量から経過時間を推測したり、足跡と尿の位置から馬の性別を判断し、追跡している敵勢に女性が含まれているかを知ることもできたと言います。彼らは、優れた追跡能力と土地勘で、軍の作戦遂行に貢献しました。

裏切りと解散

インディアン斥候隊は頼りになる戦力でしたが、アメリカ軍にとって最大の懸念は、彼らが信用できるかどうかでした。その懸念は、19世紀にアリゾナで発生した反乱事件で現実のものとなります。アパッチ斥候兵の3人が、親族から寝返るよう説得され、軍に反旗を翻しました。この3人は軍法会議で処刑されました。西部開拓時代が終焉を迎え、フロンティアが消滅すると、斥候隊の必要性も薄れていきました。1891年には、斥候兵の削減が命じられ、1947年に最後の隊員が退役したことで、インディアン斥候隊は正式に解散しました。

著名な斥候隊員

最も有名な斥候隊員はカーリーです。彼はリトルビッグホーンの戦いでカスター将軍の部隊に所属し、全滅した部隊の中で唯一の生存者となりました。また、アメリカ海軍の報告によると、19世紀以降、斥候隊員を含む12人のインディアンが名誉勲章を受章しています。なお、軍に協力したのは男性だけでなく、サカガウィアのような女性もいました。

まとめ

インディアン斥候隊は、アメリカ史における複雑な側面を映し出す存在です。彼らは、その卓越した能力でアメリカ軍の作戦に貢献しましたが、同時に、彼らが抱える複雑な背景は、常に軍の懸念事項でした。インディアン斥候隊の歴史は、アメリカ西部開拓史における、忘れられてはならない重要な一章なのです。

脚注

アメリカ軍の公式サイトには、インディアン斥候隊の歴史と貢献に関する詳細な情報が掲載されています。
関連書籍として、西部開拓史やインディアン戦争に関するものがあります。

関連項目

インディアン
アメリカ軍
西部開拓時代
インディアン戦争
* 偵察

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