インドにおける仏教の弾圧

インドにおける仏教の歴史的弾圧と再興

仏教はその発祥地であるインドにおいて、長い歴史の中でさまざまな波乱を経てきました。特に、5世紀から13世紀にかけての弾圧は、大きな影響を与えた時代として知られています。ここでは、その弾圧の背景や、現代における仏教の再興について詳しく探ります。

ミヒラクラ王の破仏

5世紀中頃、アフガニスタンで台頭したエフタルのミヒラクラ王は、仏教を徹底的に弾圧しました。彼の治世にはゾロアスター教の信仰があり、仏教の信者たちはその影響を強く受け、寺院や僧侶が迫害を受けました。この時期、仏教徒は末法思想を抱くようになり、釈迦が予言したとされるミヒラクラ王の破仏についての教えが東アジアに広まりました。

イスラム教の侵攻

中世に入ると、インド仏教はさまざまな社会運動や外的な侵攻にさらされます。特に、12世紀にイスラム教のゴール朝がインドに侵入すると、仏教徒はさらに厳しい状況に置かれました。彼らは偶像崇拝を否定する信仰を持ち、複数の仏教寺院を破壊し、その僧侶や尼僧を犠牲にしました。特に1203年に破壊されたビクラマシーラ寺は、当時最大の仏教寺院であり、この事件はインド仏教の終焉を象徴する出来事と考えられています。ヴィクラマシーラ寺の座主は、ネパールを経由してチベットへ逃れ、その後も仏教の教えが保たれる運命を辿りました。

中世の仏教徒の運命

イスラム教徒による過酷な弾圧は、仏教徒にとって末法時代と捉えられる時期でした。その結果、仏教徒たちは未来の復興を願い、シャンバラの概念や、教えの再興を目指す動きが生まれました。しかしながら、現実にはインド国内で仏教が存続・復興することは難しく、信者たちは周辺国家に移住するか、他の宗教に改宗せざるを得ない状況にありました。

現代インドの仏教の再興

1956年、インド憲法の起草者であり初代法務大臣のアンベードカルが、500,000人の不可触民と共に仏教徒への改宗を果たしました。この出来事は、インドにおける仏教復興の大きな流れを生む契機となりました。アンベードカルの死後も、その信念を受け継ぐ活動が続いています。日本人僧侶の佐々井秀嶺氏などの働きも知られています。

また、現代においてはヒンドゥー教のカースト制度に反発する下層階級の人々も、仏教への改宗が進んでおり、2001年の国勢調査では仏教徒は人口の0.8%に達しました。さらに、チベット仏教のダライ・ラマ14世がインド北部のダラムサラに亡命政府を設立したことにより、チベット仏教も少数ながら根付いています。

このように、インドにおける仏教は歴史の中で数回の迫害を経験しながらも、現在に至るまでその教えが受け継がれています。弾圧の歴史があったからこそ、現代の仏教徒たちはその重要性を再認識し、さらなる広がりを見せることが期待されています。

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