イーヴァルディ

北欧神話の鍛冶屋イーヴァルディ：宝物を生み出したドヴェルグ

イーヴァルディ（Ívaldi）は、古ノルド語で「大力無双の者」を意味し、北欧神話に登場するドヴェルグ（小人）の一人です。彼は卓越した技術を持つ鍛冶屋として知られ、神々の間で重要な役割を果たすことになる数々の宝物を制作しました。

イーヴァルディの息子たちが作り出した宝物

イーヴァルディの息子たちは、ロキが引き起こした事件をきっかけに、以下の宝物を作り出すことになります。

シヴの髪: ロキがいたずらで女神シヴの美しい髪を切り落としてしまったため、その埋め合わせとして作られました。黄金でできたこの髪は、シヴの頭に触れると根が生え、本物の髪のように成長すると言われています。
スキーズブラズニル: 常に追い風を受けることができる魔法の船。必要に応じて折りたたんで袋にしまうことも可能です。神々の所有物となり、遠征などに利用されました。
グングニル: 決して外れることのない槍。オーディンの武器として、数々の戦いで使用されました。その威力は絶大で、グングニルの一突きは必ず敵を貫くとされています。

これらの宝物は、ロキがドヴェルグたちに依頼して作らせたものでした。しかし、ロキはさらに、ブロックとエイトリという別のドヴェルグ兄弟に、これらの宝物よりも優れたものを作らせることができるかどうか賭けをします。

ブロックとエイトリ兄弟との賭け

ロキは、ブロックとエイトリ兄弟に宝物制作を挑発し、彼らもまた、以下の素晴らしい宝物を作り上げました。

グリンブルスティ: 黄金の毛を持つ猪。夜でも昼間のように辺りを照らすことができるとされています。フレイ神の乗り物として活躍しました。
ドラウプニル: 9夜ごとに同じ重さの黄金の腕輪を8つ生み出す魔法の腕輪。オーディンの所有物となり、富の象徴となりました。
ミョルニル: トール神の持つ、強力なハンマー。投げれば必ず標的に命中し、手元に戻ってくるという特性を持ちます。神々の世界を守るための武器として、巨人族との戦いで大いに活躍しました。

エッダにおける記述

これらの宝物が作られるいきさつは、『スノッリ・エッダ』の第二部『詩語法』に詳しく記述されています。また、第一部『ギュルヴィたぶらかし』第43章や、『古エッダ』の『グリームニルの言葉』第43節にも、イーヴァルディの子らがスキーズブラズニルを作ったという記述が見られます。

イズンとの関係

エッダ詩『オージンのワタリガラスの呪文歌』第6節では、「イーヴァルディの年長の方の子供たちの中で、最も若き者」として、イズン (Iðunn, Iþunn) という名のアールヴが登場します。ただし、このイズンは、詩 Bragi の妻である女神イズンとは別の存在であるとされています。

イーヴァルディは、北欧神話において、優れた技術を持つドヴェルグとして、そして神々に重要な宝物をもたらした存在として、その名が語り継がれています。

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