ウィルソン・ラモス

ウィルソン・ラモス：不屈の精神で道を切り開くベネズエラのプロ野球選手

ウィルソン・エイブラハム・ラモス・カンポス（Wilson Abraham Ramos Campos）は、1987年8月10日、ベネズエラのカラボボ州バレンシアで生まれました。右投右打の捕手として、メジャーリーグ（MLB）を舞台に長年活躍し、現在はアメリカ独立リーグのアトランティックリーグ、ロングアイランド・ダックスに所属しています。愛称は「ザ・バッファロー」。

プロ入りの道のり

2004年、アマチュアFAとしてミネソタ・ツインズと契約し、プロとしてのキャリアをスタートさせました。2009年にはAA級ニューブリテン・ロックキャッツで打率.317を記録し、将来を嘱望されるトッププロスペクトの一人として注目を集めます。

2010年、AAA級ロチェスター・レッドウイングスでシーズン開幕を迎えたラモスに、MLBデビューのチャンスが訪れます。ジョー・マウアーの離脱により、5月2日のクリーブランド・インディアンス戦でメジャーデビューを飾ると、5打数4安打という鮮烈なデビューを飾りました。これは、ツインズの選手としては1984年のカービー・パケット以来の快挙であり、捕手としては1900年以降の近代MLBでは史上初の記録となりました。しかし、マウアーの復帰に伴い、再びAAA級ロチェスターへ。

ナショナルズへの移籍と誘拐事件

2010年7月30日、マット・キャップスとのトレードでジョー・テスタと共にワシントン・ナショナルズへ移籍。2011年には、イバン・ロドリゲスの長期離脱により正捕手の座を掴み、打率.267、15本塁打、OPS.779を記録しました。地元紙「ワシントン・ポスト」は、「（ラモスの獲得は）ナショナルズが最も成功したことの1つ」と称賛しました。

しかし、その年のオフ、ウィンターリーグ参加のため帰国していたラモスは、11月9日にバレンシアの自宅前で武装した4人組の男に誘拐されるという衝撃的な事件に巻き込まれます。ベネズエラでは近年、身代金目的の誘拐が多発しており、ラモスもそのターゲットになったと見られています。誘拐から2日後の11月11日、無事救出されました。

その後のキャリア

2012年は25試合の出場に留まりましたが、2013年には78試合の出場で16本塁打、59打点を記録。2015年には自己最多の128試合に出場し、規定打席に到達。2016年には131試合に出場し、自己最多となる22本塁打、80打点を記録し、シルバースラッガー賞を受賞しました。

その後、タンパベイ・レイズ、フィラデルフィア・フィリーズ、ニューヨーク・メッツ、デトロイト・タイガース、クリーブランド・インディアンスと渡り歩き、2021年には左膝の前十字靭帯を断裂し、シーズン中の復帰は絶望的となりました。

2022年にはテキサス・レンジャーズとマイナー契約を結びましたが、メキシカンリーグを経て、2023年からは独立リーグでプレーしています。

プレースタイルと評価

マイナーリーグでの盗塁阻止率は通算43%という高い数値を誇り、守備能力の高さも評価されています。MLBオールスターゲームには2度選出（2016年、2018年）されています。

度重なる怪我や不運に見舞われながらも、常に前向きにプレーするラモスの姿勢は、多くのファンを魅了しています。ベネズエラ出身の選手として、MLBでの成功を目指し、道を切り開いてきたラモスの今後の活躍に期待がかかります。

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