ウェスタン航空2605便着陸失敗事故

ウェスタン航空2605便着陸失敗事故

1979年10月31日早朝、ロサンゼルス発メキシコシティ行きのウェスタン航空2605便（機材：マクドネル・ダグラス DC-10型機、登録番号N903WA）が、メキシコシティのベニート・フアレス国際空港に着陸する際、悲劇的な事故に見舞われました。当時、空港は濃霧に覆われており、視界が非常に悪い状況でした。

2605便は、滑走路23Rへの着陸を指示されていましたが、実際には、路面補修工事のため閉鎖されていた滑走路23Lに誤って接地してしまいました。着陸復行を試み、エンジン出力を上げましたが、その際、右主脚が駐機していたトラックに激突し、引きちぎられました。さらに、引きちぎられた右主脚が右水平尾翼と昇降舵を直撃し、機体は制御不能に陥りました。

機体は右に傾きながら滑走し、右翼が滑走路端から約1500mの地点にあった油圧ショベルの運転席に激突、その後、建物に衝突し、炎上しました。この事故により、乗員乗客88名のうち72名と、地上の1名が命を落としました。

この事故は、メキシコ国内で発生した航空事故としては、メキシカーナ航空704便墜落事故、メキシカーナ航空940便墜落事故に次いで、3番目に死者数が多い事故となりました。また、DC-10型機による航空事故としては、7番目に犠牲者が多い事故として記録されています。

1979年は、DC-10型機による大事故が相次いだ年でした。この事故の5か月前には、シカゴのオヘア国際空港でアメリカン航空191便墜落事故が発生し、1か月後には、南極のエレバス山でニュージーランド航空901便墜落事故が発生しています。

事故機のDC-10型機（登録番号N903WA）は、1973年に初飛行し、事故発生までの6年間で、合計24,614時間の飛行時間がありました。

関連事故

シンガポール航空006便離陸失敗事故：2000年に台湾で発生した事故。改装工事のため閉鎖されていた滑走路から離陸しようとして失敗し、大破しました。この事故は、本件事故と同様に、閉鎖された滑走路に誤って進入したことが原因で発生しました。

参考資料

デビッド・ゲロー 『航空事故』 清水保俊訳、イカロス出版、1994年、154-155頁。
Aviation Safety Network for Western 2605
Photos of N903WA at Airliners.net
CVR audio on YouTube
Garrison, Peter. "Aftermath: Wrong Runway Landing." Flying Magazine. December 1983. Vol. 110, No. 12, ISSN 0015-4806. p. 100-101, 106-107. (mentions Air Line Pilots Association, International (ALPA) report)

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