ウエストバージニアの水運

ウェストバージニア州における水運の歴史

ウェストバージニア州の水運は、州の歴史において重要な役割を果たしてきました。アパラチア山脈を源流とする河川は、古くから人々の生活を支え、交通、交易、そして産業の発展に不可欠な存在でした。

水運の始まり

17世紀後半、毛皮貿易の需要が高まる中、カノーハ川流域ではビーバーの毛皮を求めて多くの探検家や交易商が訪れました。1790年頃には、アイザック・バンビバーやダニエル・ブーンといった人物が交易拠点を築き、カノーハ港は重要な交通拠点となりました。その後、塩、石炭、木材などの資源が川を通じて輸送され、地域の経済発展を牽引しました。初期には、keelboat（キールボート）が川沿いの各地で建造され、レオン、レーベンズウッド、マレイズビル、リトルカノーハ川などの地域が栄えました。19世紀初頭には、ホイーリングやパーカーズバーグに蒸気船の造船所や修理工場が建設され、水運は新たな時代を迎えます。

初期の河川交通

17世紀末には、アーノールト・ヴィエルがオハイオ川を下り、ショーニー族と毛皮取引を行いました。18世紀には、フランス人もこの地域に進出し、川を使って内陸部へと探検を広げました。ウェストバージニアの川は、当時、カヌーでの移動が一般的でした。皮やカバノキの樹皮で作られたカヌーが、交易や移動の手段として利用されました。

バッファロー皮のカヌー

カノーハ地域では、バッファローの皮で覆われたカヌーに関する伝承があり、18世紀には罠猟師のジェイムズ・ル・トート・シニアが交易拠点を移し、リトルカノーハ川流域で交易を行いました。この地域には、チェロキー族やデラウェア族などの先住民が居住しており、開拓者との間で交流と衝突がありました。

カバノキ樹皮のカヌー

植民地時代の測量士は、カバノキの樹皮で作られた大型カヌーで川を移動し、時には10人以上がパドルを漕ぎました。18世紀後半には、ハンソン大尉がカノーハ川を探検し、その様子を記録に残しています。川の名前の由来や、先住民との関係を知ることができます。

平底船（フラットボート）

18世紀後半から19世紀初頭にかけて、フラットボートが一般的に使われるようになりました。ジョージ・ワシントンも、アレゲーニー川で筏が流氷で破壊されたという経験を記録しています。1778年から1781年頃には、ブロードヘッド大佐がピット砦を支配し、友好的な先住民の協力を得て、オハイオ川上流の敵対勢力を鎮圧しました。これにより、ヨーロッパ人開拓者がフラットボートを使って新しい開拓地に移住する道が開かれました。

ミシシッピ川の丸木船

ミシシッピ川下流では、大型の丸木船が使われていました。初期のものは、糸杉やプラタナスから彫り出され、帆を張って航行することもありました。ウェストバージニアのパイオニアたちは、板を張り合わせてカヌーを建造しました。これらのカヌーは、漁労や川の横断に利用されました。

丸木船による郵便船

1787年、連合会議は北西部条例を可決し、1789年には新憲法の下でその効力が確認されました。1787年には、カヌーを使った郵便輸送事業が始まり、丸木船の郵便船がホイーリング、マリエッタ、メイズビル、シンシナティの間を往復しました。この事業は、優れた操船技術と辺境に関する知識を持つ者が担いました。

軍用船および最初の小荷物事業

18世紀末、北西インディアン戦争に対応するため、アメリカ軍はkeelboatを建造しました。1793年には、ウェストバージニアの川で最初の定期的な小荷物運搬船が運航を開始し、シンシナティとピッツバーグを結びました。この事業は、ジェイコブ・マイアーズによって始められました。

keelboatによる郵便運搬

1794年には、オハイオ川で新しい郵便中継システムが計画され、6人の漕ぎ手が、メイズビル、ガリポリス、マリエッタ、ホイーリングの間を往復しました。政府の郵便配達人は、指定された区間を1週間で往復し、郵便物を交換しました。

スクーナとブリガンティン

18世紀末には、ピッツバーグの造船所でスクーナやブリガンティンなどの大型帆船が建造されました。これらの船は、小麦粉や石炭を運び、大西洋やカリブ海を航海しました。ウェストバージニア産のブラックウォールナット材は、造船に用いられ、東海岸の造船業者も注目しました。19世紀には、地元の木材で造られたバーク船がアフリカまで航海しました。

初期の蒸気船と南北戦争の艦隊

1811年、ロバート・フルトンが建造した蒸気船ニューオーリンズがオハイオ川を下りました。1816年には、ヘンリー・シュリーブがホイーリングで蒸気船ジョージ・ワシントンを建造し、以降、蒸気船が川の交通を担うようになりました。南北戦争中には、パーカーズバーグが北軍の補給基地となり、鉄道と蒸気船を繋ぐ役割を果たしました。また、第9ウェストバージニア志願歩兵連隊が設立され、川での輸送任務に従事しました。

連邦議会の水路検討

連邦議会は、ウェストバージニア州の水路整備に関心を抱き、ジェイムズ川とカノーハ川を結ぶ水路建設や、カノーハ川の改良について議論しました。しかし、次第に大陸横断鉄道と五大湖・ミシシッピ川上流の連結に関心が移っていきました。

カノーハ川ダム

1880年代後半には、アメリカ陸軍工兵司令部によって、カノーハ川に近代的なダム建設が開始されました。10基のローラーダムが1898年に完成し、一年中、商業航行が可能になりました。これらのダムは、造船所の拡張を促し、軍艦の建造も行われました。1930年代には、高揚程ローラーダムに置き換えられ、人工湖が形成されました。1989年には、より大規模な水門の建設が始まり、現代に至ります。

ウェストバージニアの水運の歴史は、その多様な歴史的背景と、川が人々の生活、産業、そして文化に深く根ざしていることを示しています。

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