ウォルター・スウィンバーン

ウォルター・スウィンバーン（1961年8月7日-2016年12月12日）は、イギリス、アイルランド、そして世界中で活躍した伝説的な平地競走の騎手です。愛称は「クワイアボーイ」。1978年、ケンプトンパーク競馬場で初勝利を飾ると、類まれな才能で瞬く間にトップジョッキーの仲間入りを果たします。

彼の名を世界に知らしめたのは、何と言っても1981年のエプソムダービーでの快挙でしょう。スーパースター、シャーガーに騎乗し、10馬身差というレコードで圧勝しました。この勝利は、スウィンバーンの卓越した騎乗技術と、シャーガーという伝説的名馬との出会いが奇跡的に合致した瞬間として、競馬史に刻まれています。その後もエプソムダービーを2度制覇するなど、クラシック競走での活躍は目覚ましく、数々の栄光を手にしました。

スウィンバーンの才能は、クラシックレースだけにとどまりません。1983年には、名牝オールアロングに騎乗して凱旋門賞を制覇。さらに、オールアロングはワシントンD.C.インターナショナル、カナディアンインターナショナルステークス（ロスマンズインターナショナル）、ターフクラシックと北米の大レースを3連勝し、1983年のエクリプス賞年度代表馬に輝きました。この快挙は、スウィンバーンの国際的な活躍を象徴する出来事と言えるでしょう。

1996年には、ピルサドスキーに騎乗し、ドイツのバーデン大賞とウッドバイン競馬場のブリーダーズカップ・ターフを制覇。この勝利は、彼の幅広い活躍と、ヨーロッパと北米を股にかけた国際的なキャリアの成功を物語っています。

数々のG1競走を制し、英国クラシック競走8勝を含む輝かしい戦績を残したスウィンバーンは、騎手として引退した後も競馬界に貢献し続けました。2004年には調教師のライセンスを取得。ウォルター・スウィンバーン・レーシングステーブルを設立し、英国ハートフォードシャー、トリングのチャーチ・ファームを拠点に活躍しました。

彼の騎乗馬には、シャーガー、シャリーフダンサー、オールアロング、シャーラスタニ、インディアンクイーン、ハトゥーフ、ラムタラ、ピルサドスキーなど、数々の名馬が名を連ねています。これらの名馬との出会いと、スウィンバーンの卓越した騎乗技術によって、数々の伝説的なレースが生まれました。

主な勝鞍としては、エプソムダービー（1981年、1986年、1995年）、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス（1981年）、ジュライカップ（1981年、1986年、1987年）、クイーンエリザベス2世ステークス（1982年、1985年、1989年）、アイリッシュダービー（1983年、1986年）、ヨークシャーオークス（1985年）、フィリーズマイル（1985年）、そして数々のG1競走が挙げられます。

イギリスとアイルランド以外の主な勝鞍も輝かしいものがあります。アベイ・ド・ロンシャン賞（1981年）、凱旋門賞（1983年）、ロスマンスインターナショナル（1983年）、ターフクラシック（1983年）、ワシントンD.C.インターナショナル（1983年）、オペラ賞（1983年、1985年、1992年）、そしてブリーダーズカップ・ターフ（1996年）など、世界中の重要なレースで勝利を収めました。

2016年12月12日、55歳という若さでこの世を去りました。彼の死は、競馬界に大きな衝撃を与えました。しかし、ウォルター・スウィンバーンが残した功績と記憶は、これからも競馬ファンの心に生き続けることでしょう。彼の卓越した騎乗技術、そして数々の名馬との物語は、永遠に語り継がれるべき偉大なレガシーとして、競馬史に燦然と輝き続けています。

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