シャリーフダンサー

シャリーフダンサー (Shareef Dancer) は、アメリカ合衆国で生産された競走馬にして、後に種牡馬としても名を馳せたサラブレッドです。

競走馬としての経歴は、華々しいデビューとは対照的に、やや物足りないものでした。1歳時にはケンタッキー州のセリ市で330万ドル(約8億円)という高額で落札されるも、実際は5戦3勝という成績に留まりました。しかし、3歳時(1983年)にその真価を発揮します。ウォルター・スウィンバーン騎手とのコンビで、キングエドワード7世ステークス(G2)を制覇し、さらにアイリッシュダービーでも勝利を収めます。アイリッシュダービーでは、ラシアンルーブル、カーリアンといった強豪を破る快挙を達成しました。惜しくも、このアイリッシュダービー優勝を最後に、シャリーフダンサーは競走馬としてのキャリアに幕を閉じます。

1984年、シャリーフダンサーはイギリスで種牡馬としての新たな道を歩み始めます。当初は重賞勝ち馬を輩出するものの、G1競走を制するような活躍馬には恵まれませんでした。しかし、1988年に生まれたポセッシヴダンサーが、1991年にオークスイタリアーノとアイリッシュオークスを制覇したことで、シャリーフダンサーへの評価は大きく上昇します。その後も、数々の活躍馬を輩出し、種牡馬としての成功を収めました。

シャリーフダンサーの産駒は、特に牝馬の活躍が目覚ましく、ブルードメアサイアーとしても大きな功績を残しました。代表的な産駒には、ドバイミレニアム、ドバイエクセレンス、ダージーなどが挙げられます。また、いくつかの後継種牡馬も残しましたが、ノーザンダンサー系という強力な血統背景を持つ馬たちの中で、特に目立った存在ではありませんでした。

日本においても、シャリーフダンサーの産駒である競走馬が数頭輸入され、中央競馬で勝利を収めたものもいます。さらに、1991年のジャパンカップには、その産駒であるロックホッパーが出走し、4番人気に支持されるも7着という結果に終わっています。

シャリーフダンサーの主な産駒には、Nediym（ネディーム）、Glen Jordan（グレンジョルダン）、Rock Hopper（ロックホッパー）、Possessive Dancer（ポセッシヴダンサー）、Brillant Dancer（ブリランダンサー）、Glory of Dancer（グローリーオブダンサー）などがいます。これら産駒の多くは種牡馬としても活躍し、シャリーフダンサーの血統は現在も競馬界に受け継がれています。

シャリーフダンサーは、1999年5月4日、ニューマーケットの厩舎で、右後脚の骨折を原因とする不幸な事故により、19歳でその生涯を終えました。

1983年、シャリーフダンサーには4000万ドルという高額のシンジケートが組まれました。これは2000年にフサイチペガサスが記録を更新するまで、世界最高額記録として君臨していました。同年には、1歳馬として世界記録となる1020万ドルで落札されたスナーフィダンサーも話題となり、これらの出来事はノーザンダンサー系サラブレッドの隆盛を象徴する出来事として記憶されています。なお、スナーフィダンサーはハーツクライの祖母の半兄にあたります。

シャリーフダンサーの母であるスウィートアライアンスは、1977年のケンタッキーオークス（当時G2）の優勝馬です。シャリーフダンサーの血統背景には、数々の名馬が名を連ねており、その高い能力の片鱗を垣間見ることができます。

もう一度検索