ウォレアイ環礁

ウォレアイ環礁

ウォレアイ環礁は、カロリン諸島に位置し、ミクロネシア連邦ヤップ州に属する環礁です。東西約8km、南北約5kmの範囲に22の小島が点在しており、各島の海抜は1mから3mほどです。別名としてオレアイ環礁、メレヨン環礁とも呼ばれています。

概要

この環礁は、1979年にミクロネシア連邦に加わりました。観光地化はされておらず、ホテルやレストランはありませんが、高等学校が存在します。現在の人口は約800人です。第二次世界大戦中には日本軍の基地が置かれ、「メレヨン島」と呼ばれていました。1944年頃から絶対国防圏強化のため兵力が増強されましたが、補給が途絶えた結果、守備隊は飢餓により事実上全滅するという悲劇に見舞われました。当時、島民約120名は南西端のフラリス島に隔離されていました。

歴史

ウォレアイ環礁では、1913年にジョン・マクミラン・ブラウンによって、現地の人々が使用していた固有の文字（ウォレアイ文字）が発見されています。

太平洋戦争

太平洋戦争中、ウォレアイ環礁は日本軍の基地となり、小規模な監視所が設置されました。1944年2月29日、第68警備隊、第49防空隊、第4施設部が到着し、飛行場建設を開始しました。その後、部隊は海軍第44警備隊に改編されました。島民はフラリス島に隔離され、大発動艇で連絡を取り、食料も供給されることもありました。

4月7日、守備隊は輸送船でサイパン島を出港しましたが、米潜水艦の攻撃により損害を受け、グアム島へ退避しました。その後、4月12日にメレヨン島に到着し、南洋五支隊が合流しました。しかし、直後から米軍の激しい爆撃と艦砲射撃にさらされ、飛行場はほとんど使用されず、食料も揚陸直後に失われ、守備隊は極度の飢餓に苦しむことになりました。6月1日、南洋五支隊は独立混成第五十旅団に改称されました。

輸送船による補給は、1944年4月12日の「松江丸」、4月14日の「山陽丸」、5月6日の「祥山丸」、5月14日の機帆船5隻、6月4日の「第一日章丸」、6月4日から6日の機帆船廻航班、7月15日の病院船「氷川丸」の入港にとどまりました。7月中旬にサイパン島が玉砕すると、メレヨン島の守備隊は放置され、補給は潜水艦に頼らざるを得なくなりました。しかし、潜水艦による輸送も危険を伴い、十分な補給は行えませんでした。食料不足は深刻で、兵士たちは飢餓に苦しみ、多くの戦病死者を出しました。農作物の窃盗や同士討ちによる死者もいました。

米軍は1944年4月以降、大規模な攻撃は行わず、爆撃機が飛来する程度でした。1945年3月11日には、ウルシー環礁への特攻作戦を誘導した二式飛行艇が不時着しましたが、修理や補給はできず、水没処理されました。

復員

終戦後の1945年9月17日、米軍と病院船「高砂丸」がメレヨン島に到着し、武装解除が行われました。9月20日、「高砂丸」は生存者全員を収容して出港し、9月25日に別府市に到着、翌日全員が下船しました。

防衛庁戦史室の調査によると、配備された将兵6426名のうち、死没者は4800名、生還者は1626名でした。厚生省援護局の資料や海軍第44警備隊の資料でも、多数の戦病死者が出ていたことが記録されています。

戦後

1946年、文部大臣の安倍能成は雑誌で「メレヨン島の悲劇」について記述し、生存者の手紙を引用しつつ、将校が食料を独占したと主張しました。しかし、復員局の調査により、将校の責任は問えないという結論に至りました。同年、メレヨン島海軍側指揮官の宮田嘉信海軍大佐が自決しました。最高指揮官の北村勝三陸軍少将も、1947年に遺族への訪問を終えた後、自決しました。

終戦後、メレヨン島守備隊関係者は、六度にわたりメレヨン島を訪問し、遺骨収集などを行いました。1966年には福山市に、1974年には札幌市、1982年にはメレヨン島に慰霊碑が建立されました。

電力

現在は発電設備があり、電力が供給されています。また、小型の携帯型発電機を備えている家庭もあります。

交通

ヤップからは船便のほか、隔週で航空便が運航されています。チャーター便も利用可能です。入島の際は、リーダー会議「カウンシル・オブ・タモル」から入島許可証の発行が必要です。

出典

参考文献

朝日新聞社 編『メレヨン島　生と死の記録』朝日新聞社、1966年8月。
大浦庸生『飢餓の島メレヨンからの生還』新風書房、1993年3月。ISBN 4-88269-211-2。
中野嘉一『メレヨン島・ある軍医の日記』宝文舘出版、1995年8月。ISBN 4-8320-1451-X。
長嶺五郎『二式大艇空戦記　海軍八〇一空搭乗員の死闘』光人社NF文庫、1998年11月。ISBN 978-4-7698-2215-8。
防衛庁防衛研修所戦史室『戦史叢書 潜水艦史』 第98巻、朝雲新聞社、1979年6月。
郵船OB氷川丸研究会『氷川丸とその時代』海文堂出版株式会社、2008年2月。ISBN 978-4-303-63445-2。
国立国会図書館デジタルコレクション - 国立国会図書館
南洋廰編『南洋群島島勢調査書. 昭和5年　第4巻(顚末)』南洋庁、1932年3月。

関連項目

アイランドホッピング
絶対国防圏
歩兵第22連隊
伊三六一型潜水艦
伊号第三六九潜水艦
備後護国神社 - 慰霊碑が立つ
穴吹夏次 - 戦争中に駐留していた
中野嘉一 - 詩人、歌人、精神科医で太宰治の主治医。軍医として終戦まで駐留し｢軍医の日記｣を著す。

外部リンク

なにわ会（海軍兵学校第72期、海軍機関学校第53期、海軍経理学校第33期合同クラス会）
泉五郎（当時、伊369潜水艦航海長）「メレヨン島と田中歳春君」/小森宮正悳（当時、メレヨン島に不時着した二式飛行艇指揮官）「副官 田中歳春中尉の思い出」
* Habele, a charity serving Yap's Outer Islanders

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