ウスティカ

ウスティカ島：歴史と自然が織りなす地中海の宝石

ウスティカ島は、イタリア・シチリア州パレルモ県に属する、ティレニア海に浮かぶ小さな火山島です。面積は約8平方キロメートル、人口は約1,300人。シチリア島の主要都市パレルモから北へ約70kmの場所に位置しています。

地理

ウスティカ島は、東西約3.5km、南北約2.5kmの楕円形をしており、海岸線は約12kmです。島の中央部には標高244mのプンタ・マッジョーレと238mのグアルディア・デイ・トゥルキという2つの丘があり、島を北東部と南西部に分けています。

島の海岸は岩場が多く、砂浜はほとんどありません。海岸線には、緑の洞窟や青の洞窟をはじめとする多くの海食洞や岩礁が見られます。

歴史

ウスティカ島は、その歴史の中で様々な役割を果たしてきました。

先史・古代: 紀元前1500年頃からフェニキア人が居住。紀元前14世紀から紀元前13世紀にかけて大きな集落が築かれました。古代ギリシャ人は「納骨堂」を意味する「オステオーデス」と呼び、ローマ人は「焼けたもの」を意味する「ウスティカ」と呼びました。
中世: 6世紀にはベネディクト会修道士が移住しましたが、戦乱により撤退。中世を通して、海賊の活動により定住が妨げられました。
* 近代・現代: 1759年、ブルボン家のフェルディナンド3世によって入植が奨励され、集落が形成されました。19世紀末から20世紀初頭にかけて、多くの島民がアメリカ合衆国へ移民しました。

流刑の島

ウスティカ島は、ブルボン家統治時代から政治犯の流刑地として利用され、イタリア統一後もその役割は変わらず、ファシスト政権下では多くの政治犯や同性愛者が送られました。最も有名な政治犯は、イタリア共産党指導者のアントニオ・グラムシです。1961年、島民の抗議により流刑地としての歴史を終え、その後観光開発が進められました。

イタビア航空870便事件

1980年、島の近海でイタビア航空870便が空中爆発し、乗員乗客81名全員が犠牲になるという悲劇がありました。原因は未だに解明されていません。

社会

島には24時間対応の医療サービスがあり、高気圧酸素治療のためのチャンバーも設置されています。カラビニエリ、財務警察、自治体警察、郵便局、銀行、薬局などの施設も港周辺に集中しています。

また、水不足対策として海水淡水化装置が導入されています。

文化・観光

ウスティカ島は、スキューバダイビングの名所として知られています。火山性の地形により、比較的深い海に潜ることができ、熱帯性の生態系を観察できます。また、島の周囲の海は海洋自然保護区に指定されており、豊かな海洋生物が保護されています。

また、島では珍しく野球が盛んです。週末には多くの島民が野球場に集まります。

自然・環境

ウスティカ島にはウスティカ島自然保護区とウスティカ島海洋保護区が設定されています。

島には固有の植物種がいくつか見られますが、人間の活動や外来植物の影響で、本来の植生は損なわれています。また、この島はセイヨウミツバチの一種であるApis mellifera siculaの生息地としても知られています。

海中には、サンゴ、イセエビ、ハタ、タイ、カンパチ、サバ、カマス、ブダイ、モンガラカワハギ、海綿動物など、多様な生物が生息しています。

交通

パレルモとの間には、フェリーや水中翼船が定期的に運航しています。島内には全長9kmの道路があり、島を一周するバスが運行しています。

ウスティカ島は、歴史と自然が調和した魅力的な島です。ダイビング、ハイキング、歴史探訪など、様々な楽しみ方ができるでしょう。

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