ウミフェノビル

ウミフェノビルについて

ウミフェノビル（ウミフェノビル、Umifenovir）は、抗ウイルス薬として主にロシアと中国で使用されている医薬品です。この薬はインフルエンザの治療に特化していて、ファーマスタンダード社が生産した先発品が存在しています。商業名称としては「アルビドール」という名前でも流通しています。

この薬剤は、ロシアと中国において有効性が確認されており、承認を受けているものの、アメリカ合衆国や日本ではインフルエンザの治療や予防目的での使用は認められていません。化学的には、インドール核を有し、特に7位以外の位置には異なる置換基を持つことが特徴です。

販売状況

ウミフェノビルの有効性に関する研究は主に中国とロシアで行われ、これらの国々では広く知られています。特にロシアではいくつかの試験においてその効果が認められ、オセルタミビルと同等の有効性が示されたこともあります。2010年にはロシアで最も販売量が多い医薬品ブランドとなり、2020年の第1四半期にはロシアの抗ウイルス薬市場で16%のシェアを占めるに至りました。

作用機序

ウミフェノビルの作用機序は、ウイルスのエンベロープとターゲット細胞の細胞膜との結合を阻害することにあります。これにより、ウイルスが細胞内部に侵入するのを防ぎます。特にRNAウイルスに対する効果が期待されている一方で、DNAウイルスに対しても一定の効果があるとされています。また、免疫系を調整する作用も備えており、インターフェロンの産生を促すことで、液性免疫反応を改善し、マクロファージの機能を高めることが示唆されています。

臨床使用

ウミフェノビルはインフルエンザ治療にも使われていますが、C型肝炎の治療候補としても研究が進んでいます。哺乳類培養細胞を用いた研究では、ザイールエボラウイルスやカポジ肉腫関連ヘルペスウイルスの侵入を防ぐ効果が確認されています。また、B型肝炎やポリオウイルスに対する抑制効果もin vitro研究で見つかっています。

研究開発

2020年、中国においてはCOVID-19の治療法候補として、ウミフェノビルとダルナビルの併用療法が研究されているという報告があります。このような新たな用途に向けた研究が進むのは、ウミフェノビルの持つ可能性を示すものと言えるでしょう。

副作用

これまでのところ、ウミフェノビルの過剰摂取のケースは報告されておらず、アレルギー反応はごく一部の過敏症の患者に見られるに過ぎません。LD50（半数致死量）は4g/kg以上とされています。

批判

ロシア医学科学アカデミーは、2007年にウミフェノビルの効果が科学的に証明されていないとする声明を発表しました。また、ロシアのメディアでは、保健省大臣であったタチアナ・ゴリコバがロビー活動を通じてウミフェノビルを推進しようとしたことへの批判や、治療効果に関する不確実な情報への非難が行われています。ウミフェノビルの有効性については、査読付き研究によって裏付けられていると主張されていますが、その信頼度には疑問が残る要素も存在します。

このように、ウミフェノビルは抗ウイルス薬としての位置付けを持ちながら、様々な意見や研究開発が進行中の薬剤であるため、今後の動向に注目が集まります。

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